シドニーで不動産これから値上がる地域の考察

こんにちは、国際不動産エージェントManachanです。今回のコラムは、弊社主催の不動産セミナーで人気急上昇中の「オーストラリア」がテーマです。
いまオーストラリアがなぜ注目されているのか?「ここ2年ほど続いた下落局面が終わり、上昇局面への前夜にある」と思われるからです。背景には、次のような事情があります。
・金融緩和(公定金利の2連続カット、1.50%⇒1.00%)
・同国大手銀行における不動産融資基準の緩和
・5月の総選挙で、不動産オーナー向けの政策を打ち出す与党連合の勝利
タイムリーなことに、8月7日ブルームバーグの記事「オーストラリアの不動産は底打ちした」(Australia’s Housing Market Is Suddenly Heating Up Again)が大きな反響を呼び、国内外の投資家の注目がさらに集まりそうです。
この記事で取り上げられた事例は、シドニー近郊の「ライド」(Ryde)という場所で、4ベッドルーム一戸建の、オークションで設定された値段より22.6万ドル買いあがって落札されたという、まるで数年前のバブル期を彷彿させる出来事でした。
 
皆様の理解を深めるために、ここ20年ほどシドニーの不動産価格トレンドをおさらいしてみます。同市の値動きは非常に分かりやすく、「3~5年ほどの上昇局面」、「2~4年ほどの調整(停滞・下落)局面」を繰り返しながら、全体としては右肩上がりが続いています。
1998~2003年  オリンピック開催に伴う不動産ブーム&上昇局面
2004~07年   調整局面
2008年     リーマンショックの影響で調整局面長引く
2009~11年   政府の緊急経済対策(金融緩和+利下げ)に伴う上昇局面
2011~13年   調整局面
2014~17年   投資ブームによる上昇局面
2018~19年   調整局面 ← 今ここ
 
かつてシドニーで暮らし、上昇局面も調整局面も経験した私の実感でいうと、「上昇局面になると一気に数十%上がる」、「調整局面ではだらだら小幅に値下がる」‥その繰り返し。インパクトとしては断然、「一気に値上がり」の方が強烈ですので、「値上がって手遅れになる前に急いで買うべし!」が、シドニーで暮らす上での処世訓です。
シドニー不動産価格の直近のピークは2017年末とされます。その後、18年初から始まる調整局面は、同市の不動産史上、最も激しい下落幅だったこともあり、「すわ不動産バブル崩壊か?」という文脈で、経済ニュースなどで取り上げられました。
でも私の実感でいうと、「バブル崩壊なんて大げさすぎる。今は普通に調整局面なだけでしょ。2~3年経てばまた上がる」と思っていました。人口が年10万人近いペースで増えるシドニー都市圏、かつ慢性的な住宅不足が続く状態で、経済法則からいって不動産価格が下がり続ける道理はないのです。
 
その調整局面が、いよいよ終わりつつあるようです。シドニーの「ライド」という場所で不動産価格の先高観が出てきた理由を深く探ろうと、データを調べたところ、こんな現象が起こっていました。
Ryde (ポストコード 2122)
・シドニーの北西12㎞
・一戸建の中央値 $1,394,000
・過去3年(’16/6~19/6)の上昇率 -2.5%
・過去5年(’14/6~19/6)の上昇率 +48.3%
 
つまり、こういうことです。ライド地域では、2014年~17年末までの上昇局面で、不動産価格が大きく値上がり、調整局面での値下がりも急激だった。
2016年中盤から17年末まで約1年半の値上がり幅よりも、それ以降1年半の値下がり幅の方が大きかった。そのため、「値ごろ感」が出てきているのだと思います。
私の記憶が正しければ、ライドの一戸建中央値はピーク時160万ドル超以上だったはずなので、いま139万ドルという数字をみると、「値段結構こなれてきたじゃん!」と感じます。

 
次に、シドニー都市圏内で、ライドと同じく、「値ごろ指標」=「一戸建(House)中央値の過去3年の上昇幅がマイナスで、かつ、過去5年間で35%以上の値上がり」を記録した地域(サバーブ)を調べると、計25サバーブが該当しました。
その8割が「シドニー都心から10~30㎞の範囲内、約100万豪ドル(7200万円)の価格帯」に分布していました。なかでも一番集中していたのが、シドニー西方の衛星都市「パラマタ周辺」で、ここの一戸建は安く買えればサイクル的な価格反転が期待できるエリアだと思います。
特に、鉄道駅があって都心直結のWentworthville(92万ドル)、Toongabbie(79.8万ドル)、Merrylands(81万ドル)は、キャピタル狙いの投資でも狙いやすいエリアと思います。


 
次に、「集合住宅(Unit)」についても「値ごろ指標」を調べてみたところ、15サバーブが上記条件に合致。地理的には「都心近接10㎞圏内の優良エリア、100万ドル前後の高額帯マンション」と、「都心距離50㎞離れた遠郊、40万ドル台のタウンハウス」に値ごろ感が出ていました。
特に、シドニーに住む皆の憧れNorthern SuburbやEastern Suburbのマンションが値ごろなんですね~。特にRushcutters Bayなんて頑張れば都心まで歩いていける場所なのに、マンション中央値62.5万ドル(4500万円)なんて激安に感じます。


 
最後に「シドニー値ごろ指標」のチャンピオンを発表します。一戸建部門と集合住宅部門の両方で基準を満たしたのは、唯一、Wentworthville(ウェントワースビル)だけです。
Wentworthville(ポストコード2145)ってどんな街?
・シドニーの西25㎞、最大の衛星都市パラマタの西3km
・鉄道駅あり、M4高速のインターチェンジ至近
・一戸建の中央値:$920,000(6630万円)
・集合住宅の中央値:$590,000(4250万円)
・治安や住民属性:ごくフツー、良くも悪くもなく
・雇用機会へのアクセス:最強クラス(パラマタ至近+ノースライド+シティへ軽快アクセス)
・買い物利便性:最強クラス(駅前商店街+パラマタのウェストフィールドSC)
・医療サービス利便性:最強クラス(シドニー最大Westmead Hospitalに近接+街医者も多数)
・今後、シドニー西空港開港に伴うインフラ整備期待あり。
 
皆が憧れる場所じゃないけれど、一般ピープルもなんとか家が買える価格帯。職場アクセスをはじめ、利便性は申し分ない。伸びしろもある、
もっとも賃貸利回りは3%台だし、追加印紙税負担などもあるので、わざわざ日本から投資目的で手を出すのも難しいけれど、オーストラリア永住権保持者や、シドニーに用事がある方なら、いま狙って良い場所だと思います。

Translate »