シンガポールの不動産事情(2018年2月時点)

シンガポールは、言わずと知れたアジアの経済・ビジネスハブ。建国以来50年で大きな成長を遂げ、所得水準は世界有数。人口560万人の都市国家ながらGDPは人口1億人超のフィリピンとほぼ同等。同国は中華系を中心とする多民族・移民国家であり、総人口の約3割が、国籍・永住権を持たない、労働ビザなどで滞在する外国籍者です。

 

派手な経済的発展の裏で、日本であまり報道されていないのが、ここ数年のシンガポールが陥っている経済不振と、急速な少子高齢化。私は2007~12年にかけて、毎年のようにシンガポール出張に行きましたが、最近同国を訪れて感じることは、当時と比べて明らかに経済の勢いが落ちた。いや「成熟した」というべきか…一言でいうと「きれいに整備された、老人の多い静かな国になった」印象です。

 

データをみると、2011年頃の経済ピークを境に外国人の流入が減り、直近で総人口の伸びがほぼ止まっています。2015~16年は年率1~2%の低成長が続き、マクロ経済的に良い材料が 余り 見当たりません。「ビジネス・ハブ戦略」で大成功したシンガポールが次の時代に向けてどう経済成長していくのか、まだ答えを見いだせてない印象です。

 

ところで不動産市場を見ると、今のシンガポールは参入タイミングとしては魅力的です。住宅価格は2011年のピークから6年も下落を続け、平均で約2割安くなったことで次第に「割安感」が出てきたのです。

 

東京を含めて世界の大都市の多くが最近5年間で住宅価格を上げてきたなか、シンガポールは下落を経験した数少ない都市のひとつ。その結果、UBS銀行の「グローバル不動産バブル指数」においてシンガポールの住宅価格は「適正水準」判定になっています。

 

 

とはいえ、個別の不動産によって状況は違います。私は今年2月に現地の不動産を視察しましたが、坪単価@700万円を超える都心の高額物件は売れ行きが悪く 、「ちょっと郊外」の坪単価@300~400万円のマンションは飛ぶように売れたようです。全体的に、シンガポール不動産市場「夜明けは近い」といえそうです。

 

なお、我々日本在住者にとって頭が痛いのは、外国人としてシンガポールの不動産を買う場合に支払う、税率15%の追加印紙税ですね。つまりシンガポール人初回購入者の1.15倍の値段で買うことになるわけです。この印紙税が廃止または緩和されるという噂もありますが、もしそうなったら都心高級物件が外国人に売れるようになるでしょうね。

 

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