こんばんは、国際不動産エージェントManachanです。いま成田空港で、バンコク行きのフライトを待っています。
広い千葉県内を電車移動している時い、元国会議員、田村耕太郎氏のメルマガ「シンガポール発 アジアを知れば未来が開ける!」読んでました。日本人のチャレンジ精神を鼓舞したいという作者の気持ちはよく分かるし、部分的には納得できる面はありつつも、全体的な論調にはかなりの違和感を感じております。
私は外国事情に疎い日本人相手に、「日本だめぽ、外国すげー!」的な言論活動やってる人がどうも性に合わなくてねえ…
私は、外国(オーストラリアや中国)で、現地採用ITエンジニアという泥臭い仕事で叩き上げてきた人間。海外生活を通じて、今まで気づかなかった「日本の良さと、凄さ」を感じてきた人間です。
もちろん、日本のイケてない部分、古臭い部分、グローバル政治経済にうまく対応できてない部分、多々あると思います。これまで何千年にもわたる、人々の営みの結果として存在する日本の社会風土が、いま求められている変化と相性の悪い面は当然ある。英語が苦手なこと、移民を受け入れるのが苦手なこと、システム的なアプローチが苦手なこと等を含めて…
但し、それは几帳面で製造業に向く、現場力が強い、器用に対応する力が強い、創造性豊かでブランド価値を生み出す力が強い等といった日本の強みと、表裏一体だと思います。
だからこそ日本のイケてないところだけ抜き出して、ダメダメ強調しても、全体像みえてる議論とはいえないよねえ。
先程のメルマガに戻ると、私からみて到底「すげー」とは思えないことを、いかにも「すげー」書き方しているのが、いまいちだな~と思う。たとえば、
・英語、中国語ができるのが、そんなに凄いの?
この人、日本人が日本語だけしかできないと決めてかかってませんか?
日本には、少数派かもしれないけど、英語も中国語もできるビジネスマンがいますよ。私もその一人…「シンガポール人は子供の頃から英語、中国語ができる」と言われても、別に驚かないし、彼らと英語や中国語で長年ビジネスやってきたから、彼らの「実力」も大体分かる。
シンガポール人や、華人系マレーシア人。英語が公用語だから、当然、英語はネイティブorビジネスレベルでできる。でも中国語は達者にしゃべれても書けない、読めない人多いよ。それ考えると、ビジネスで使えるのは英語だけという人が大部分じゃないの?
その他にも、
-シンガポール人が英語できるから、日本語だけしか分からない日本人には入ってこない情報がどんどん入ってくるとか、
-シンガポールには世界中の優秀な人がどんどん入ってきて切磋琢磨してるから日本人とレベルが違うとか
そういう面も確かにあるかもしれないけで、等身大のシンガポール人と長年付き合ってきた私からすると、買い被りすぎじゃないかなあと思う。
確かにいま、アジアでトップレベルの所得水準を誇る国となったシンガポールは、「今風の国」というか、「グローバル経済にうまく適応した国」だと思います。独立50年間で、あそこまで発達した経済を創り上げた指導者と国民は、掛け値なしに大したものだと思う。
でも、つい25年前には、日本も絶頂期で、今のシンガポールと同じことを言われてたんだよ。戦争で焦土となった国から、よくも短期間で復興して、世界に冠たる経済大国になったものだ・・・みたいな称賛の声が世界中から上がって、オーストラリアみたいな英語圏の国でも、日本語を学びたい人がむちゃくちゃ増えて、「ツナミ」と呼ばれる現象が起きたほど・・
いま考えると、日本の社会風土が、当時の世界経済の状況にぴったり合ってたんだよねえ。今は、日本のバブルがはじけた他に、英語必須のグローバル経済に加え、中国が製造業大国としてものすごく伸びる時期・・・日本には相性悪いよねえ。でも、こんな短期間に、日本社会の根幹が変わったわけじゃないと思うのです。
今は、シンガポールみたいな国が有利。経済成長中の東南アジアに位置する上に、英語圏でかつ、中国語リテラシーも高い、近代的なビジネスインフラと住環境が充実・・・金融業や多国籍企業のアジア本部の立地としてうってつけだよねえ。
しかし、確実にいえることは、「シンガポールの栄華」が、未来永劫には続かないということです。シンガポールの個性、お国柄が、グローバル経済社会の要請とぴったりマッチしなくなるか、あるいは強力なライバルが現れて、シンガポールが提供している機能がコモディティ化して、以前のようには稼げなくなる時代が、そのうち来ると思います。
シンガポールから学べる部分は学びつつも、同国の旬な時代がいつまで続くのか?見守りたいと思います。