1)ドイツ社会経済の概況
ドイツ連邦共和国は、ユーロ圏の中心的な経済大国・工業国である。
面積:357,168 km²
首都:ベルリン
通貨:ユーロ
人口:82,175,700 人 (2015年)
ドイツの足元の経済状況は好調で、GDP成長率は2%台中盤でユーロ圏経済を牽引、失業率も3%台と周辺諸国に比べて優秀な数字である。出生率は低いが移民・外国人労働者の流入により総人口は伸びている。
ドイツは分権的な国で、権限の強い16州から構成されている。総人口8200万人のうち、1800万人が西部のノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州に居住している。同州の州都はデュッセルドルフ。
ドイツの地図で都市の位置関係をみると、デュッセルドルフを中心とするライン河流域に、デュイスブルク、エッセン、ケルン、ボンなど、主要都市が並んでおり、これらは全てNRW州に属する。この一帯はドイツのみならずヨーロッパ有数の人口集中地域となっている。
州都デュッセルドルフは、人口63万を擁する国際的なビジネス都市。ドイツで最大の日本人コミュニティを持つ街としても知られている。
2)ドイツ不動産市場・制度の概況
イギリスやフランスと違い、首都への一極集中がみられない国・ドイツでは、「8大都市」が国の経済を牽引する構造になっている。
8大都市:ベルリン(首都)、ハンブルク、ミュンヘン、フランクフルト、デュッセルドルフ、ケルン、シュツットガルト、ライプチヒ
8大都市のなかで、人口が最大なのは首都ベルリン(360万人)で、以下ハンブルク、ミュンヘン…と続く。
一方、富裕度(購買力指数)でいえばミュンヘンが首位(ドイツ全体の135.5%)で、以下デュッセルドルフ、フランクフルト…と続く。首都ベルリンはドイツ全体の平均を下回る(同91.7%)。
ドイツでは都市部を中心に住宅不足が深刻化している。現在、8大都市の全てで、世帯数が住宅戸数(ストック)より多い、という事態になっている。つまり「1世帯が1住宅に住む想定だと、住宅が足りなくなる」計算、つまり構造的に空室問題が存在しない状態。
2011~16年の直近5年では人口・世帯数増加に、8大都市全てで住宅供給が追いついていない。
居住用住宅における構造的な「需要>供給」により、8大都市全てで賃料も売買価格も上昇基調となっている。
ドイツ全体の不動産価格は、「8大都市では2010年から」、「それ以外の中堅都市では2013年から」、上昇基調になっており、年率5%程度の上昇が続いている。
賃料水準が上昇中のドイツ各都市。とはいえ巨大都市のない国なので、ヨーロッパ他国の都市と比べると賃料はまだ低い水準にある。
ドイツは賃借人保護の法律が強く、「一生賃貸住まい」が珍しくない国なので、周辺諸国に比べて持ち家率は低い(50%近辺)。また、賃料を上げるにあたっての規制も多く、「数十年前の賃料のまま住んでいる入居者」が相当数いることもあり、賃貸利回りの数字も8大都市では極めて平凡(3~4%)。
英米圏に比べて賃料を上げにくく、賃貸利回りも高く見えなかったことが、先進国でありながら、ドイツがこれまで不動産投資家に注目されなかった主な理由と思われる。とはいえ、2015年前後から外国人投資家の参入が目立っており、ドイツ各年でも価格上昇の時代を迎えている。
また8大都市を外して中堅都市を探せば、比較的高い利回り(5%以上)が取れる場所が少なからずある。NRW州内、デュッセルドルフ周辺では特にそういう場所が多い。
3)ドイツ・デュッセルドルフ周辺の不動産投資の狙い
今のドイツは、世界的にも稀にみるほど、不動産市場へ参入する上で好条件が揃っています。
・着実な人口増加&経済成長
・住宅需要過多(供給過少)による賃料、売買価格の増加
・周辺諸国より低価格で買える物件が豊富(賃料も安いが…)
・ガバナンス的に安心感の高い先進国
・国際的な通貨「ユーロ」での資産形成
ドイツのなかでもNRW州(デュッセルドルフ周辺)は、様々な不動産投資モデルで資産を増やせるエリアといえます。なぜなら、
・中心都市デュッセルドルフでは、住宅価格が高い(㎡4000~6000ユーロ)が、その分、値上がり狙いの投資が可能。
・デュッセルドルフから25km離れたデュイスブルクでは、住宅価格がデュッセルドルフの約半分(㎡2000~3000ユーロ)。一方賃料はそこまで差がないので、賃貸利回りが高い(5~7%)。オーバーハウゼン、ゲルゼンキルヘン等に行けば、さらに高い賃貸利回りが取れる場所もある。
【物件例-1】ゲルゼンキルヘン市、築100年美人物件(※2018/3 売却済)
1920年築とは思えないほど、しっかりメンテされて状態が良い。天井高は3mくらいあり、部屋がとても広く感じる。入居者さんが1週間ずつ当番でゴミ出しするので整然としており、各室にひとつずつ屋内駐車場がつく。
自分が買いたいレベルだなあ。賃貸で住んでもいいかも。リフォーム済価格31万ユーロ。年間ネット家賃26880ユーロ、ネット利回り8.7%。
【物件例-2】ヘルネ市、商店街内アイスクリーム名店付物件
街の中心、歩行者天国、このスペックで土地建物が6000万円ちょっとで買えるのか…都内でタワマン買うよりずっと投資価値が高いかも。
HauptStraße, Herne, Germany
店舗2戸+住居3戸
建築面積 628平米
価格 469,000ユーロ
ネット家賃 39,384ユーロ/年
ネット利回 8.4%
1902年築
50%融資可能(年利2.8% 15年)
【物件例-3】オーバーハウゼン市、便利な駅近で20万ユーロを切る格安一棟(※2018/4 売却済)
オーバーハウゼン中央駅から徒歩5分、商店街すぐの場所で資産価値的にも安心感が高い。この駅はとても便利で、デュッセルドルフ中央駅まで21分で直通。またオランダ〜ドイツを結ぶ国際特急列車の停車駅。アムステルダムから来ると、ここがドイツ領内最初の駅になります。20万ユーロ以下の一棟滅多にみないので価格的にも希少価値。
FriedenStraße, Oberhausen,Germany
住居6戸
建築面積 172平米
価格 193,000ユーロ
ネット家賃 15,500ユーロ/年
ネット利回 8.0%
1910年築
さらに詳細は…ヨーロッパ不動産勉強会で深く学ぼう。
第三回:本命ドイツ深掘り編(11月中旬実施予定)
Reported by 国際不動産エージェント 鈴木学
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