海外不動産は現地国の融資を優先すべし

こんにちは国際不動産エージェントManachanです。ここ2日間、「東京→大阪(セミナー講演)→名古屋(宿泊)→東京(セミナー講演)→静岡(商談)→名古屋(セミナー講演)→東京」と、 新幹線で西へ東へ大移動。仕事が一段落して自宅に帰ったら、家族がハムスター2匹買ってきてました♪
今回の日記は、「海外不動産購入と融資づけ」のテーマで書きます。
 
私自身を含め、ブログ読者の多くが「日本国籍の日本在住者」という前提で書きますが、私たちが海外(日本以外)の不動産を購入する際に、果たして銀行融資を使えるでしょうか?不動産の所在国別に考えてみましょう。
☆英米圏先進国の場合、
一定水準以上の価格帯(目安は3000~4000万円以上)なら、現地国の金融機関から融資が受けられることが多く、日本人投資家の利用者も多い。現時点では、
・オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イギリス…物件価格の60~65%程度まで融資が利用可能。金利3~5%。期間20~30年位まで。
・アメリカ…物件価格の50%程度まで融資が利用可能。金利4~5%。期間20~30年位まで。
☆東南アジア新興国の場合、
物件によっては、現地国の金融機関から融資受けられることもあるが、日本人投資家で利用者は少ない。主な理由は、融資制度の未発達と、金利水準の高さ(年6~10%以上)。
 
なお、物件所在国が先進国、新興国の如何を問わず、日本国内の金融機関で、海外不動産購入に対して融資を出すところがいくつかあります。なお、日本の銀行は海外不動産の担保評価をしないので、要は借り手の個人属性や資産背景を総合的に評価した上での融資になります。現時点では、次の3つが知られています。
☆政策金融公庫…日本国内で不動産賃貸経営の実績ある者に対して融資。物件担保の有無に関わらず金利は1%台と安い、融資期間は通常15年まで。2000万円までなら比較的借りやすい。
☆オリックス銀行…日本国内で十分な空き担保のある物件所有者に対して融資。担保必須。金利は2%台前半。
☆スルガ銀行…日本国内で十分なサラリーマン給与収入がある者に対して融資。金利7%前後だが、フリーローンで手軽に借りられる。融資期間は通常10年。
 
したがって、購入者(日本人投資家)からみると、こうなります。
☆英米圏先進国の物件を買う場合
・3000~4000万円以上の価格帯なら、「現地金融機関」と「日本の金融機関」どちらも使える
・それ以下の価格帯だと、「キャッシュ買い」、あるいは「日本の金融機関」を使う。
☆東南アジア新興国の物件を買う場合
・価格帯を問わず、「キャッシュ買い」、あるいは「日本の金融機関」を使う。
 
現実的にいえば、「先進国のまともな価格の物件」を買う場合のみ、「現地国の金融機関」か「日本の金融機関」の両方から選べるということになります。
その場合、今後のことを考えると「できるだけ現地国の融資を優先すべきだと私は思います。なぜか?
 
理由はシンプルです。どの国、どの都市の、どの銀行も、「取引実績」を重視します。もし、物件オーナーが遠方に住んでいればなおさら、「地元」(物件所在地)での融資・返済実績や口座の入出金履歴が、銀行にとっては大事な判断基準(稟議書のネタ)になります。
日本国内だって、東京在住の人が、札幌の収益物件を融資受けて増やす場合は、普通、札幌市や道内の金融機関との継続的なお付き合いを大事にしますよね?なかには、札幌に法人立てたり、一時的に住民票移してまで、地元の信金信組から融資ひく「つわもの」もいます。
 
物件が日本国外にあっても事情は全く同じです。例えば、日本人がオーストラリアの物件を買う場合は、たいてい、同国の4大銀行(NAB、ANZ、Westpac、Commonwealth)のいずれかから融資引くことになると思いますが、たとえ遠い外国在住であっても「オーストラリアの銀行から融資を引いた実績」が、次の物件取得につながるのです。
また、「現地国の物件担保ローン」をひくことが、後々、大きな意味を持ってきます。物件の担保価値が上がる場合は、価値上昇分がそのまま「エクイティ」(Equity、自己資金)になりますし、かりに価値上昇しなくても元本を返していけば、残債減少分が「エクイティ」として評価されます。
英米圏先進国では、「エクイティ」ができれば、それを使って次の物件取得もできるし、或いは、より有利な融資条件を求めて、他の銀行に乗り換えることもできます(※私はオーストラリアで、3回もローン借り換えました)。また、「ドローバック」(Drawback)といって、これまで返した残債の一定割合(80%程度)を、銀行から借りることもでき、緊急にお金が必要になった時に便利。
あと、マイナス金利の日本と違い、オーストラリアやニュージーランドでは、預金金利が年1 ~2%とかつきます。物件担保ローンと預金を同じ口座で同時にやれば、「オフセット」(Offset)といって、「預金金利稼いだ分を、そのまま無税で、金利分の支払いに充当する」ことができます。
 
何が言いたいのか?・・・現地国の金融機関から融資を引くと、「実績」になるほか、副産物として「値上がり分の自己資金充当」や「他行への借り換え」、「一時借り入れ」や「預金金利を使った返済金利負担軽減」までできてしまう。一方、日本の金融機関から融資受けた場合、こうしたメリットが一切受けられません。要は、日本で借りても、海外で資産増やす上でのレバレッジにならないのです。
あと、為替リスクもありますね。日本でお金借りると当然、日本円での返済になりますが、海外物件の家賃収入は当然、海外通貨建て。為替が円高に振れれば、それだけで金利負担が重くなります…そうした為替リスクを、借り手が負わなければなりません。
 
こうしたをもろもろを知っていれば…たとえばオーストラリアの不動産購入に際して、下記二つの融資オプションがあったとして、
・現地の金融機関で、豪ドル融資、金利4%台、期間20年
・日本の金融機関で、日本円融資、金利2%台、期間15年
これらを比べて、「日本の方が金利安くて有利じゃん!」と飛びつくことは、なくなるはずです。少なくとも私は、上の条件なら100%間違いなく豪ドル融資を選びます。

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