バンコクで売れる住宅地の条件

こんにちは国際エージェントManachanです。タイ・バンコク出張から昨日帰ってきました。
私は数多い海外出張をこなしてますが、バンコクはとても馴染みのある環境なので、ラクですね。いつもの定宿に泊まると、街が「おかえり~」と言ってくれてるようで、アウェイ感がほぼありません。
私、海外での仕事は大抵B to C(個人のお客様相手の仕事)ですが、今回は珍しく、B to B(企業様相手の仕事)でした。東南アジア、特にタイとベトナムはここ数年、日本の不動産関連企業の進出先として人気が高まっており、私が水先案内人として活躍する機会も増えています。
当然ながら、個人の投資家様相手の仕事と、法人企業様相手の仕事では、ポイントや進め方が大きく違います。平たくいうと、
・個人の投資家様の場合、数百万円~数千万円を投じて、タイ不動産を購入します。そのお手伝いをする場合、ポイントは、個人向け資産コンサルティング力。つまり、お客様が資産形成、資産保全する上でどんな課題があり、その解決策としてタイ不動産が活用できるかどうかの見極めと、説得力が決め手になります。
・法人企業様の場合、数億円~数十億円という大きな額を投じて、タイ不動産ビジネスに参入します。そのお手伝いをする場合、ポイントは、タイの不動産マーケット分析や民力分析。つまり、会社様が不動産商品・サービスをタイ国内で供給するにあたって、どんな顧客層にフォーカスすべきで、彼らはどの位のお金を払って買う可能性があるのかを、データに基づき分析・説明する能力が決め手になります。
また、日本の個人投資家がタイ物件を買う場合、成約事例の多くはバンコク都心部の外国人マーケット向けの高額物件になり、一般のタイ人が買うローカル物件を買う人は少ないですが、法人企業の場合は、タイ現地デベと組んでローカル物件の大量供給を狙ってくる会社が少なからずあります。都心の外国人向け物件と比べて、ローカル物件はたいてい郊外なので土地の仕入価格が比較的安く、短期間で多くの戸数を供給できるし、購入できる人が大量に存在するから、資金回収の面でも魅力的だからです。
つまり、法人企業様相手のB to Bの場合、B to Cとは比較にならない程、タイ人の収入水準、不動産購買力の分析が重要になってくるわけです。その分析・考察が不十分だと、せっかく良い物件つくっても想定した値段で売れず、利益を得られなくなります。
日本の例を使って分かりやすくいうと、「1戸5000万円の新築マンション」を、東京の港区や千代田区で供給すれば普通に売れますが、同じ価格帯・グレードのマンションを葛飾区や足立区で供給してしまうと、売り切るのは難しい。そこでマンションデベロッパー各社は、事業計画を立てる前に、「民力(地域購買力)分析」を、かなり緻密なレベルでやるわけです。タイで住宅供給事業をやるなら、当然、同様の調査努力が必要になります。
お客様の意向を受け、私はいま市場調査をしておりますが、気を付けなくてはならないのは、タイという国、バンコクという都市が、日本人からみて「結構エグイ格差社会」であること。そして、「人々の認識も社会階層によって分断されてしまう」ことです。
バンコク都心部を拠点とする外国人は、往々にして、郊外のクルマ社会に住むタイ人の収入水準や暮らしぶりをよく知りません。彼らが自由に出歩けるのは、今のところ鉄道が通る都心10㎞圏内に限られ、その外の世界にアクセスするには実際問題として、自家用車とタイ語能力が必要になるので、それをあえてやる外国人の絶対数は少ない。
また、言葉の問題がなくても、良い家柄の家に生まれたタイ人は、一般庶民の暮らしぶりや収入水準を、驚くほど知らなかったりします。同じタイ人であっても、生まれも育ちも就職も、全く違う世界で暮らしてきたのですから当然でしょうが、その分断ぶりは見事(?)なもので、「東京都心で生まれ育った人が千葉埼玉のことを知らない」どころの話ではありません。
格差の固定した社会ゆえ、タイ人の民力や収入水準に関しては、誰から、どんな文脈で話を聞くのかによって、答えが全然違ってきます。今回の出張でも、不動産調査会社を中心に、いろんな方にヒアリングしましたが、「こいつ、全然分かってねえな」と思う人も相当数いました。
これまで得られた回答や、統計数字を総合すると、
・バンコク都市圏に住むタイ人の月収は、(当然ピンキリだが)平均2万バーツ台前半。
・世帯収入になると(たいてい夫婦共稼ぎなので)平均4万バーツ台前半。
・個人で5万バーツ以上の月収を得れば「富裕層」に分類されるが、彼らはバンコク住民の14~15%を占めるに過ぎない。人数にすると200万人程度。
・10万バーツ以上の月収を得る「アッパー富裕層」は、バンコク住民の2~3%。人数にすると30万人程度。
・アッパー富裕層のうち、一握りの超お金持ちはわずか数万人。彼らは想像できない程の莫大な富を手にしている。
バンコクの平均より収入水準が下の方々は、タイ人も、近隣諸国民(ミャンマー人、カンボジア人等)も、郊外の安アパートを賃貸するケースが多いので、
マイホーム購入層としてのボリュームゾーンは、バンコク平均より上、でも富裕層には届かない、世帯収入5~6万バーツあたりの方々になるかと思います。タイではマイホームローン制度が整備されており、金利は平均6~7%と安くはありませんが、年齢が若ければ30年程度の融資を受けられます、そしてサラリーは年々上がる傾向…
それらもろもろを考えると、タイ人ローカルを相手にする場合、世帯収入比の5倍、250~300万バーツ位の住宅を供給するのが、購買力の面では一番現実的かと思います。日本と同様少子化の国なので、子供は2人。家族はMax4~5人を想定。そうなると、次のイメージになるかと、
・バンコク通勤圏の郊外
・土地付き一戸建かタウンハウス
・クルマ必須なので、最低1台の敷地内駐車場(できれば2台)
・ショッピングセンターや学校、病院まで、クルマでの移動が不便でない
・家族構成からみて、ベッドルームは3つ、バスルームは2つ欲しい
・鉄道駅はなくてOKだが、将来的に駅ができる想定なら尚良い
それらを最低スペックとして備え、かつ、タイ人視点でみて不便な立地でなく、皆さんが買える価格であれば十分、住宅供給事業が成り立つのではないかと思います。逆に、400万バーツ超の価格帯を狙う場合、ローカルのトップ15%「富裕層」の世界になりますので、エリアも設備もセキュリティも厳選しなくてはなりません。評判の良い大手デベロッパーを選ぶのは必須でしょう。
タイの一般ピープル向け、250~300万バーツ台の住宅地
一方、在タイ外国人(欧米人、日本人、中国人等)マーケットを狙う場合、エリアによってはタイ人ローカルを数倍する高額価格帯での供給も視野に入ってきますが、その代わり、彼らが不便なく生活できる都心部か鉄道沿線エリアであることが必須。また競合も増えるなか、彼らに積極的に選んでもらえる内容が必要でしょう。都心部やBTS駅近の地価高騰が著しい昨今、難度も高くなってきていると思います。
一番やっちゃいけないのは、ローカル向けなのか外国人向けなのか、 コンセプトのはっきりしない、中途半端な企画ですね。たとえば、
・ローカル向けにしては価格が中途半端に高く、かといって外国人が積極的に選ぶ理由もない物件
・ローカル向けの価格帯でも、部屋が狭い、駐車場がない等、実需ニーズにあわない物件
・外国人向けを狙っても、鉄道駅から微妙に遠く、アクセスもいまいち不便で、かといってタイ人が買うには高すぎるor狭すぎる物件
これまで、バンコク各地でコンドミニアム、戸建、タウンハウスなど、いろんな分譲住宅地を見てきましたが、売れ行きの良い住宅地には、必ず、「売れる理由」があるものです。それが何なのか、調査でさらに明らかにしていきたいと思います。
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