バンコク・エカマイ駅の北と南で賃料が2倍違う理由

おはようございます。国際不動産エージェントManachanです。バンコク滞在、最終日。もうすぐドンムアン空港に向かい、日本への帰国の途につきます。
長途、10日間にわたる、タイでの不動産市場調査(出発前の準備も含めると4か月間)。「やれることは、全力でやりきった!」という満足感で心が満たされました。同時に、大好きなバンコクの地を離れることが少し寂しいです。
日本に着いたら、「リンガーハットのちゃんぽん」でも食べて、寂しい心を少し温めよう…
 
タイを離れる前に、「バンコク地域考察」シリーズ第二弾を書きますね(第一弾「バンコクの買っていい駅、だめな駅」も併せてお読みください)。今回のテーマは、
 
【エカマイ駅 (BTSスクンビット線、駅番号E07)】

 
エカマイは、在バンコク日本人駐在員ファミリーに人気の「黄金の4駅」(アソーク、プロンポン、トンロー、エカマイ)の一角を占める駅。不動産購入という尺度でいえば、間違いなく「買って良い駅」です。但し、
 
エカマイ駅の北と南で、ものすごい格差がある
 
ことを、不動産投資するなら是非覚えておいてください。この格差には、
 
・バンコクにおける、日本人賃料相場とタイ人賃料相場の、数倍におよぶ格差
・日本の都市では考えられない、バンコクの激しい交通渋滞

 
という事情があります。逆にいえば、バンコク固有の賃貸マーケット構造を知っていただくための良い題材として、今回「エカマイ駅」を取り上げたわけです。
 
【これが、エカマイ駅付近の地図】

 
【エカマイ駅の高架下に、慢性渋滞で有名なスクンビット通りがあります】

 
予備知識として、バンコク都心部の道路は、
 
・幹線道路(片側2~3車線、双方通行、タイ語で「タノン」という)
・ソイ (幹線道路の両側に分岐する生活道路、一方通行が多い)

 
の二つから構成されています。幹線道路からみて、片側のソイが奇数番号、その逆側のソイが偶数番号というナンバリングがなされています。エカマイ駅を通る幹線はスクンビット通りで、この近辺のソイは、駅北側がソイ61と63、南側がソイ40と42です。面白いことに、
 
日本人視点からみて、エカマイ駅の北側と南側で、交通利便性は雲泥の差です
 
なぜなら、
 
・駅北側のソイ61、63は両側通行で、南のスクンビット通りと、北のペチャブリー通りへのダブルアクセスが可能。
・日本人学校や空港へのアクセスは、ペチャブリー通りに出る必要がある。
・一方、駅南側のソイ42は一方通行で、スクンビット通りにしか出られない。
・このスクンビット通りのラッシュ時の渋滞は凄く、数百メートルの移動に30分かかることもザラ。

 
この「ソイ一方通行」と「超・渋滞」の事情があるがゆえに、
 
ソイ42あたりに住んでしまうと、日本人学校のスクールバスのピックアップ時間が、ソイ61や63に比べて1時間ほど早くなる。奥様は4時半や5時に起きて弁当をつくらなければならない!
 
そういう事情もあって、在バンコク日本人ファミリーは、エカマイ駅エリアに住むなら余程の事情がない限り北側を選ぶ。南側は著しく不人気になるのです。同じ駅徒歩数分圏内なのに、これほどの格差が出るのです。
 
かくして、エカマイ駅の北側、ソイ61と63の界隈は、日本人の奥様が好みそうな小綺麗な環境になっています。
 
【エカマイ駅北側の道路、きれいに整備されている】

 
【ソイ61、高級コンドミニアムが並ぶ。日本人住民比率3割の世界】



 
【ソイ63の商業施設パークレーンには、子供を遊ばせる施設あり。来るのはほとんど日本人】

 
一方で、エカマイ駅南側のソイ42は、道一本入っただけで、ローカル感を残した地区が広がります。歩道なしがデフォルト、道路の整備状態も概して悪い。
 
【エカマイ南口徒歩5分で、この風景】

 
 
驚くべきことに、
・エカマイ北口徒歩5分、1ベッド〈40~50㎡〉の賃料が月額4万バーツ前後
・エカマイ南口徒歩5分、1ベッド(35~40㎡)の賃料月額2万バーツ前後

 
同じ駅5分で、築年数もほぼ同等の小奇麗なコンドミニアムでも、北と南で、賃料に2
倍の差が出てきてしまうのです。タイでは、不動産売買価格が「グロスの賃貸利回り5~6%」に収斂される傾向があるので、売買価格もざっくり2倍の差があると考えて良いでしょう。
駅南5分の「1ベッドで2万バーツ」のコンドミニアムにはタイ人が多く住んでいるようで、住居内印刷物の表記もほとんどタイ語。フロントにいた男性職員も英語が極めて不自由でした。
 
いま、バンコクで一般的なタイ人が払える家賃帯は、私の感覚でいうと「月額12000~15000バーツ」が上限のようです。15000バーツ以上の家賃を払えるタイ人は極端に少なくなる。そう考えると、エカマイ駅南側で2万バーツの家賃を払っているタイ人は、賃借人属性としては最高レベルと考えて良いでしょう。
逆に考えると、エカマイ駅北側で日本人ファミリーが払っている「4万バーツ以上」の家賃をタイ人が払えるようになるには、今後タイが順調に経済発展するにしても、まだ10年以上の時間がかかると予想されます。
 
このような「日本人マーケット御用達」物件を買う場合は、「今後、継続的に、日本人駐在員に選ばれる立地・スペックを備えた物件であるか?」〈例.フジスーパー目の前とか…〉を見極める必要があるのです。少なくとも今後10年は、タイ人に貸したり出口を取ることは期待できない分、慎重を期して選びましょう。
現在、エカマイ駅南エリア〈ソイ42〉、徒歩3分のところに、高層コンドミニアムRhythm Sukhumvit42が建設中です。

私もショールーム見に行きましたが、これが建てば、駅南エリアの評価は多少上がると思います。コンド周辺の道路もマシになるでしょうし…
 
でも、上述の交通事情があるため、Rhythm Sukhumvit 42の資産価値が、駅北側の高級コンドミニアムと同じになることはないでしょう。日本でいえば、名古屋駅の西側(駅裏)に商業施設が建って地価が上がっても東側(都心側)に追いつくことはない…というのと同じで。
以上がエカマイ駅周辺の地域分析になります。いま円安で、タイの不動産価格が円表示だと高く見えてしまうので、日本人相手にタイ不動産を売る業者も、エカマイ駅南側とか、これ以遠の物件を紹介するケースが多くなると思います
業者がバイヤー視点でベストな物件を紹介するとは限りません。私たち投資家は、バンコクなど海外で確かな資産価値の物件を手にするためにも、学習を続ける必要があるのです。私も、日本の皆様に、「不動産投資家の目でみた、確かな情報」を継続的にお届けしていきたいと思います

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