海外大家の会の存在意義

こんばんは、国際不動産エージェントManachanです。
 
2月16日にNHKで放映された「預金封鎖特番」の影響か、我々の海外不動産投資セミナーに来る方が、最近少し増えているような気がします。
「日本円の外出し」を提唱して、海外の預金口座やプライベートバンキング、海外不動産などの紹介を生業(なりわい)にしている業者にとって、あの番組は追い風になったのではないでしょうか。
 
私は、海外不動産投資コミュニティ「アジア太平洋大家の会」の代表として、そういう業者さんと組んでセミナーを開催したりすることもありますが、彼らの「日本の財政やばい、国に財産とられる前に海外に逃がそうぜ!」みたいなトークに対しては、冷ややかな目で見ています。
日本円を海外に逃がす(結果的に、日本人が円以外の外貨資産を持つ)ことには基本的に賛成なんですよ。世界中にいろんな経済を営む国があって、それぞれの特徴や得意分野があるので、一定以上の資産があるなら二つ以上の国に分散させてグローバルなポートフォリオを組んだ方が、(ちゃんと管理できるなら)リスク分散の観点でも望ましいと思います。
ただ、そういう業者の多くが、海外投資の「入口」しか言わずに「出口」に言及しないのが、私は問題だと思います
 
なぜそうなるのか?現時点では彼らの多くが、海外口座開設のアテンド料やコミッション、海外不動産の購入サポート料などを収益源にしている、つまり「入口」でお金を得るビジネスモデルになっています。一旦、入口でお金をとってしまえば、その後、海外投資が成功するよう継続サポートするよりも、新しい客をとる方が収益につながるのです。
日本国内でいえば、収益アパートを建売したり、売買する仲介業者と似たビジネスモデルなんですよね。彼らも「売れば手数料ゲット」ですし、その後のことは基本的に「知らぬ存ぜず」になりがち。
 
また、海外資産を運用して「出口」まで経験した業者が少ないのも大きな問題です。海外の実績豊富なプライベートバンクにつなぐ仕事ならまだしも、海外不動産になると、まともな「出口」を迎えるまで最低5年はかかってしまう。そこまで実際に物件を運営して、売却した経験がない業者は、「入口」への誘導はできても「出口戦略」を聞かれるとまともに答えられない。せいぜい、「良い値段で売れるよう、精一杯サポートします」位のことしか言えない。(でもって、客が出口を迎える前に、廃業してしまう業者が後を絶たず…)
欧米先進国の不動産であれば、中古不動産の売買市場やデータが整備されているので、「この立地で、この間取りなら、将来いくらで売れそう」という話ができやすい分まだマシですが、アジア新興国のプレビルド(未完成物件)を売る業者に至っては、その国の中古不動産市場も未整備、データもロクにない、という状態で商売するので、出口の話など、できるはずがない。
 
ま、そういう国では経済の伸び率が大きいので、5年、10年と保有できるのであれば、多少の高値掴みはあっても、売却益は取れるでしょう。ただそれにしたって、海の向こうの日本語通じない国に物件がある以上、物件管理や入居づけ、融資あっせん、納税代行など、継続的にサポートしていく必要はあるわけで、それ位は業者の責任でやっていただきたいのですが、中途廃業、商売替え、国替え…等々の理由で、やりきらない業者が余りにも多い。
このままでは、今年後半か来年あたり、東南アジア某国を舞台に、海外不動産ブームに大きな逆風となる出来事が起こるのではないかと、危惧しています。
 
そんな危なっかしい海外不動産の世界で、私たち「アジア大平洋大家の会」の存在意義は何なのか?
私たちは「大家の会」です。言い換えれば「賃貸事業者」集団です。大家の仕事は、「物件を買った後」から始まります。
海外物件を保有した後、入居づけで家賃を得る、売却して利益を得る、あるいは日本国内の快速償却を使って節税メリットを得る…そうした、「物件保有後のオーナー利益最大化」のためにこそ、私たちが存在する意味があると考えます。
 
多くの業者がそういう仕事を満足にできないのなら、私たちは自分の海外資産を守り、利益を得るために自ら学ばなければならない。戦略的にリスクをとって、試行錯誤して、スキルをつけなければならない。

 
大きな話でいえば、カントリーリスクの見極め。日本の国が近い将来、財政危機、取り付け騒ぎになるリスクは、ゼロとはいえない。だからといって、私たちが資産を置いている海外の国がそういう事態にならないと言い切れる根拠もない。むしろ、私たちの多くは、その国にとって「非居住者の外国人」という脆弱な立場で資産を置いている分、その国から財産を没収されたり、著しい不利益を被る可能性は、日本よりかえって高いかもしれない。そのリスクをいかに見極めて、大事な資産を守っていくか?業者がそのリスクを言わない、知らないのなら、私たちは自ら学ぶしかない。
もう少し卑近な話でいえば、近隣物件との競合の問題。東南アジアの経済がたとえ年率7%で伸びていても、私たちの買った物件が年率7%で値上がりしていつでも売れるとは限らない。むしろ、建築ラッシュで近隣に類似物件がバカスカ建ちまくって、蓋を開けたら空室だらけ、貸そうにも貸せない、売ろうにも売れない…みたいな事態になるかもしれない。そういう「買ってはいけない」物件を、いかにして見極めるか?物件がピンチになったら、いかにしてリカバリーするか?…それも、自ら学ばなければならない。
さらに、物件が海外にある以上、為替、海外送金などの知識も不可欠だし、ビジネス慣行の違う海外の人々とコミュニケーションをとり、協業するスキルも必要。
 
日本国内にある多くの大家の会は、地域に根付きつつ、オーナー利益を最大化するために日々、情報交換やスキルアップに励んでいることと思います。私たちは海外を舞台に、同じようなことをやりたいのです。海外だからこそ、私たちの会が、
学ぶべきことは非常に多い。だからこそ、チャレンジする意味があると思うのです。
それを実現するには、海外不動産を扱う専門業者との協業が欠かせません。ですが今後は、海外投資の「入口」しかできない業者よりも、「購入後や出口サポート」に注力する業者と、良い付き合いをしていきたいと思います。