不思議の国キルギスの世界最安値不動産

こんにちは、国際不動産エージェントManachanです。いつもご愛読ありがとうございます。皆様は、中央アジアにある小さな国、キルギスをご存じでしょうか?

 

【世界一の奥地をゆく】

 

世界一大きなユーラシア大陸。その中央部にあって、地球上で最も海から遠い地域が、中央アジア・・・そこは、旧ソ連に属していた5ヶ国(カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン)と、中国領の新疆ウイグル自治区からなる、広大な地域。総面積は日本の15倍!

 

キルギスを例にとると、そこは、中国北京から西へ飛行機で5時間、あるいはロシア・モスクワから南東に4時間半、アメリカ東西横断に匹敵する距離を、ずっと陸地だけ飛んだ先にある、はるかな内陸奥地。この地点からは、地球上のどの海も直線距離で2000㎞以上離れています。

 

中央アジアは、西洋と東洋を結ぶ、シルクロード交易路上にあり、太古の昔からさまざまな民族が行き来しました。西暦629年、インドの仏典を求めて唐の都・長安を飛び出し西へ向かった玄奘・三蔵法師は、はるかなる西域の旅の途中、天山山脈を超えてキルギス草原に出たという。その後、タラス河畔の戦いで中国の製紙法がアラブ・西洋に伝わったり、中国の陶磁器とペルシャの顔料との出会いが、青の都・サマルカンドの建築物として結実するなど、常に文明の交差点であり続けました。ユーラシア東端の海中にある日本列島の人々も、北伝仏教、奈良正倉院の宝物など、西へ7000km離れた中央アジアの影響を受けてきました。

 

海上物流が発達した今日でこそ、海から非常に遠く輸送インフラも発展途上な中央アジアは貿易上不利な「奥地」ですが、陸上交通盛んなりし頃、この地は「世界の目抜き通り」と言ってよかったかもしれません。

 

 

【他人とは思えないキルギス人】

 

キルギス共和国は、人口600万人余。人種のるつぼ中央アジアの例にもれず、多民族国家です。かつて300年ほど、ロシア帝国やソ連の統治下にあった歴史ゆえ、首都ビシュケクには、金髪碧眼のロシア人やウクライナ人も多数暮らしています。とはいえ、この国の主要民族であるキルギス人は東洋系で、日本人そっくりの外見をしています。

 

肌の色、背格好、顔かたち…どの要素をとっても、彼らは日本人に酷似しており、ビシュケクの街を歩いているだけで、「あっ、すみれ薬局のおばさん!」、「なぜ助川工務店のおじさんがここに居るの?」と驚くほど、近所に住んでる日本人の空似が多い。私が泊まったホテルの女性職員とは英語で話しましたけど、顔をみてると思わず日本語で話しかけてしまうほどでした。

 

遺伝子的に他人とは思えない人たちが、ヨーロッパの雰囲気のある、緑豊かで美しくおしゃれな街に住んでいるのが興味深いです。

 

 

【キルギスは完全にロシア語圏】

 

日本人と瓜ふたつな人が多くても、当然ながらキルギスで日本語は通じませんし、英語の普及度も低い国です。彼らがどの言語を話すかというと、主にロシア語と、キルギス語です。

 

首都ビシュケクには、ロシア人はじめ旧ソ連構成国の人が多数住んでおり、彼らはキルギス語を話せないこともあります。一方で、この街に住むすべての人は、ロシア語を話します。看板も9割以上がロシア語表記ですし、教育から、科学技術、ビジネス、法律に至るまで、ロシア語なしにキルギス国は成り立ちません。

 

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【40部族とマナス王の伝説】

 

キルギス人は、広い意味でトルコ系民族(Turkic People)に分類されます。彼らは、今日のトルコ共和国だけでなく、アゼルバイジャン、中央アジア、新疆ウイグル自治区、東シベリアのヤクート共和国に至る、ユーラシア大陸の東西に広く分布しています。

 

そのため、キルギス語はトルコ語と近しい関係にあります。トルコ語やキルギス語で「40」はkırk(クルク)といいますが、これが、民族名・国名の由来になっています。つまりキルギス(クルグス)は「40部族の国」で、彼らをまとめて外敵と戦って国を守ったのが、民族叙事詩に出てくる伝説の勇者「マナス王」です。

 

首都ビシュケクの中心「アラトー広場」にマナス王の騎馬像があり、首都空港にもマナスの名が冠せられているほど、この名前はキルギス民族の象徴となっています。

 

 

【出稼ぎ経済の国】

 

1991年、ソ連崩壊の直後に成立したキルギス国家は、建国後30年近くを経過しましたが、経済建設に苦労したまま今日に至ります。2018年の一人あたり名目GDPは1268ドルと低く、世界186か国中の154位。中央アジアではタジキスタンの次に貧しい国とされます。

 

内陸最奥地にある国、しかも国土の93%が標高1500m以上の高地という山岳国で、物流の意味では極めて不利です。強い輸出産業がない農業国で、人口600万人しか居ない国なのに仕事はそれに輪をかけて少ないため、国民の優に10%以上が、旧宗主国のロシアや隣国カザフスタンに出稼ぎに行きます。

 

モスクワ等で肉体労働や汚れ仕事に励むキルギス人がもたらすルーブルは、キルギスにとって大事な外貨収入。首都ビシュケクに出稼ぎマネーが集まる結果、この街はGDP1200ドル余りの国とは思えないほど発展しています。

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【世界最安値の首都不動産】

 

キルギスの首都ビシュケクの中心地でさえ、今なら不動産を安く買えます。外国の個人名義で土地所有はできませんが、区分アパートメントなら所有権が持てる状況です。

 

不動産マーケット的には、この国はまだ初期段階にあり、マイホーム文化の萌芽はあれど、賃貸市場や二次売買市場が十分に育っていません。外国出稼ぎでお金を得たキルギス人ファミリーを中心に、ビシュケク市内~近郊の新築マンションを購入する意欲は高く、多くの人が、7~9万USドル位で住まいを買いますが、借りて住むことは一般化していません。その点は日本の昭和40年代頃の感覚に近いかな。

 

一方で、都心部のアラトー広場や国会議事堂南側の高級感あるエリアになると、そこは大使館職員や外国人ビジネスマンの世界。彼らはUSドルで家賃を払って借りることが一般的で、中古流通マーケットもそれなりに機能しているので、しっかりした管理会社さえあれば中長期保有型(Buy and Hold)の不動産に向く場所といえます。

 

 

この一帯の新築分譲や築浅の流通価格は、㎡あたり1100~1500USドルが相場。賃貸で人気のある2ベッドルーム2バスルーム(ボリュームゾーンは100~130㎡)は11~18万USドルといったところ。賃貸に出すとグロス利回り8~10%といったところ。

 

新興国とはいえ、首都の都心エリアで100㎡以上の新築に住めて2000万円いかない値段は凄いです。坪単価は40~55万円で、私がこれまで行ったなかで最安値国です。

 

 

あまり投資向けではないのかもしれませんが、300㎡超えの大型ペントハウス等も流通していました。大使クラスの方が住まわれるのでしょうか?この物件は335㎡で45万ドル、5000万円しないんですね。

 

 

中古でもちゃんとレノベすれば良い値段で再販できるようです。

 

【USドル家賃を高利で定期預金できる!】

 

キルギスがさらに面白いのは、都心部レジデンスの賃貸経営ならUSドルで家賃を受け取り、かつ、それを銀行に預けて高利運用できることです。キルギス国立銀行へヒアリングしたところ(2019年11月現在)、

 

一年定期預金の金利は、
●USドル建で5%
●キルギスソム建で12%
こんなに高い金利にも関わらずキルギスでは預金金利利益は非課税です。たとえばの話、「すぐ貸せる都心物件を17万ドルで購入して、大使館職員に1400〜1500ドルで貸して、家賃をUSドル建かキルギスソム建の定期預金で複利運用すれば、高利回りでキャッシュが増える」ということも可能なのです。

 

【現地管理会社は日本語対応可】

 

海外不動産投資の本質的な難しさは、物件が自分の住まいから非常に遠いところにあること。自分ですぐ行けるわけではない以上、現地で運用してくれる信頼のおけるパートナーが不可欠。彼らが居ないと、いくらマーケットが良くとも、画餅になってしまいます。

 

私が今回、キルギスに行った主な理由は、不動産視察とともに、現地で管理してくれるチームがどれだけしっかりしているかを見極めることでしたが、キルギスビジネスに長年携わってきた日本人の会社が窓口になり、現地管理チームも日本のキルギス大使館で長年勤めていた方や、コンクリ・建築会社経営の方、驚くほど多士済々が揃い、彼らが居れば何とかなりそうな気がしました。賃貸管理費は家賃の10%、もちろん日本語対応可。

 

【終わりの一言】

勝手知らない海外、しかも新興国キルギス…ということで、不動産保有中に何が起こるか分かりません。少なからぬ不確定要素があるなかで、「キルギスに親しみが持てる」、「ハプニングも多分楽しめる」、「10年後のキルギスの成長と、値上がりが楽しみ」という方には向くかもしれません。私の経験上からいって、一国の首都中心地で坪40~50万円で買えれば、5~10年のスパンで保有して最終的に損はしないだろうと思います。
キルギスは小国とはいえ、まともな都市がビシュケクしかありませんから、今後も人口が集まるでしょうし、イスラムの国だから出生率高く、人口伸び率も高く推移するでしょう。ロシアやカザフへの出稼ぎは今後当面続くでしょうが、そのマネーの受け皿もビシュケクしかありません。そして、街がきれいでおしゃれなのも良いですね。

 

 

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