オーストリア共和国の不動産事情(2018年6月)

1)社会経済の概況
以前は「東側社会主義圏への窓口」として、今日では「旧社会主義圏から移民と労働者が集まる中欧の中心都市」として、立地条件を活かして栄える都市ウィーン。人口は着実に伸びており、1990年に150万人台だったのが今日は180万人、2030年には200万人に迫ると予測されています。
オーストリア全体でも人口は増加中で900万人に近づいている。同国の一人当たりGDPが、近隣のチェコの2倍、スロバキアの2.5倍、ハンガリーの3倍あり、距離的に近くて国境のイミグレもないことから、人々が働く先・移住先としてオーストリア、特に首都ウィーンに流入しています。
オーストリアはドイツ語を公用語とする国で、ウィーンの街を歩いてもドイツのミュンヘン等と非常に似ています。

 
2)不動産市場・制度の概況
オーストリアの不動産市場はリーマンショックの影響はほぼ受けず、歴史的にバブルやクラッシュもなく、地元経済と歩調をあわせて着実に成長してきました。ドイツと同様、賃借人を保護する法律が強く、家賃が上げにくいため投資資金が流入しにくい事情があるのだと思います。
ウィーンの地価は二極化しており、中心市街地は㎡単価15000ユーロ(坪◎650万円)と非常に高騰していますが、数km離れた近郊では㎡4000ユーロ(坪◎180万円)と、近隣諸国の首都と比べて割安感があります。ウィーンは市電、地下鉄が発達しており、数㎞離れた近郊でも不便さはありません。家賃水準は安く、ウィーン近郊の賃貸単価はネット10~12ユーロ(坪4000円台)で賃貸利回りは3%台。都心では2%近辺になります。購買力に比べて家賃に割安感があるため、これから徐々に上がりそう。
不動産に関わる税金はドイツと同様、購入時は高く(諸経費・諸税8~9%)、売却時には安い(同1~2%)。保有時には累進の所得税がかかり、キャピタルゲイン税は10年以内なら27%ですがそれ以降は徐々に安くなります。

 
3)オーストリア(ウィーン)不動産投資の狙い
見た目華やかな利回りも出ない代わりに、家賃も不動産価格も着実に伸びていくと思われるので、長期保有のBuy & Holdに向くマーケット状況です。地元民に分譲するレジ開発は粗利15~17%程度ながら、工期・マーケット的に安定感があります。
 
【物件例-1】ウィーン12区Meidling駅前アパートメント(※2018/6 完売しました)

写真はウィーンの主要鉄道駅のひとつMeidling駅すぐ前の物件。ウィーン都心の旧市街からは少し外れますが、駅前の便利この上ない立地で新築坪単価は180万円(平米@4200€)程度。ミュンヘンやベルリンに比べて割安感を感じます。29平米が12万ユーロちょっとの値段、但し瞬く間に売り切れましたが…

物件価格リーズナブルな代わりに家賃も安く賃貸利回りはネット3%台(グロスだと4〜5%か)ですが、家賃は安い分上昇基調ですし、物件価格はそれ以上のスピードで着実に上がっています。私も一つくらい買っても良いと思いました。
見かけの利回りにとらわれず、ガバナンスと経済がしっかりした先進国で、家賃も資産価値も上がり目のある物件を持つのはアリだと思います。



 
【物件例-2】ウィーン南郊Biedermannsdorfタウンハウス
ウィーンの南15kmの郊外に建設中の実需向け新築住宅(タウンハウス)。3部屋80㎡で約30~35万€。専用庭と地下駐車場へのダイレクトアクセスあり。
窓サッシや断熱含めたクオリティが素晴らしく、本当に快適で住みやすそう。土地代がまだ安く建物に金かけられる国の住まいっていいなあ。


 

 
さらに詳細は…ヨーロッパ不動産勉強会(2018/7/19(金)16:00~@東京半蔵門会場)で。


 
Reported by 国際不動産エージェント 鈴木学
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