ライプチヒの不動産事情(2018年4月)

ドイツ東部の都市「ライプチヒ」は、中世の昔から栄えた商業都市。世界的に有名な文豪ゲーテ、音楽家バッハやメンデルスゾーンを輩出するなど、豊かな歴史文化を育んできました。人口は約60万人。

 
かつては東独の社会主義体制のもと経済停滞した時期もありましたが、ドイツ統一後は旧西独地域よりも安い賃料や人件費を武器に企業立地が進み、2008年に物流大手のDHLがライプチヒにヨーロッパ最大級の物流ハブを設けて以来、発展が加速しています。今日では旧東独地域のなかでベルリンに次ぐ第ニの都市として、そしてドイツ8大都市の一角に数えられるまでになりました。
 
ドイツでは今日なお東西の経済格差が残っており、2017年におけるライプチヒの購買力指数はドイツ平均の86.9%にとどまります。上位の都市はミュンヘン(135.5%)、デュッセルドルフ(118.7%)、フランクフルト(114.8%)と全て旧西独にあります。
 
所得が低い分、賃料水準も相対的に低く、ライプチヒの月額平米賃料の中央値は6.85ユーロと、ドイツ8大都市のなかで最低水準。これは旧西独の富裕都市ミュンヘン(18.45ユーロ)やフランクフルト(14ユーロ)の半分以下で、ベルリン(11ユーロ)とも大差がついています。
 
ライプチヒの不動産価格はまだ安く、中古不動産の平米単価は1810ユーロと、ドイツ主要都市のなかで飛び抜けた低価格。旧西独のミュンヘン(6880ユーロ)やフランクフルト(4830ユーロ)の約3分の1、ベルリン(3840ユーロ)の約半分の水準です。
 
但し上記の数字は社会主義時代に建てられた劣悪な住宅を相当数含んでいることに注意。2017年新築に限ればライプチヒの平米単価は3500ユーロ。ベルリンはじめ他都市が軒並み5000ユーロ台ですから、所得水準や発展度の差を考えると割安とはいえません。賃貸利回りはドイツ主要都市の場合ネット3%台が基本です。ライプチヒは4.54%と比較的高いですが新築に限れば3.21%、他都市と変わりません。
 
国内他都市と同様、ライプチヒも住宅不足。2011〜16年に人口や世帯数が12%も増えたのに住宅供給は2%しか増えていません。需給ギャップがすぐには解消されないので賃料は徐々に上がっていくでしょう。
 
ライプチヒで不動産投資のモデルとしては、市内近郊の生活便利な場所で、多くの人が無理なく払える賃料平米単価5ユーロ程度の中古区分または一棟アパートを、平米1000ユーロ程度で仕込んで、利回り6%位で回しつつ、10年以上保有して徐々にキャピタルゲインを狙うのが王道だと思います。空室の心配は少ない都市です。
 

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