【ブログ】アメリカ不動産、個人と法人どちらで買うべきか?

こんにちは国際不動産エージェントManachanです。いまアメリカ出張から帰国する機内でブログ書いてます。
アメリカは、海外不動産投資の本命中の本命といえます。不動産マーケット規模は世界一、不動産取引の仕組みも先進的で安心度高い。地域のバラエティも豊かで、世界最先端の都市もあれば、人口増加中の発展途上地域も多く、様々な価格帯の収益物件があります。外国人だからといって土地建物の所有権に制限もない上に、しかも通貨は世界一使い勝手の良い米ドル。
私は海外のいろんな国で不動産を「つまみ食い買い」してますが、もし一国だけ選べと言われれば、間違いなくアメリカを選びますね。
アメリカでは、不動産投資で財をなした人、リッチリタイアできた人が、おそらく世界一の数います。彼らの成功パターンを見ていると共通点があって、

1)不動産の値上がり益を得る。
2)買い換え特例(1031エクスチェンジ)を使い、キャピタルゲイン税を払わずに資産を組み替える。
3)米国遺産税の基礎控除(545万ドル→約6億円)を使って無税で相続。子孫も資産リッチに♩

具体的には、このようにします。リーマンショック後、2011年頃から、まずカリフォルニア州の大都市部がいち早く値上がりました。同州内、特にロサンゼルスやサンフランシスコは、全米でも「誰もが良いと思う」優良な場所。アメリカの洗練された投資家は、当然、投資物件を持っており、値上がり益を享受します。
2016年頃に、カリフォルニア州の多くの場所で、不動産価格はリーマンショック前のピークを上回り、「上げ止まり感」が出てきます。他州に目を転じると、テキサス州やフロリダ州など、カリフォルニアよりずっと安く家が買えて、上昇率も高い地域が存在します。
そんな時、洗練された投資家は、「カリフォルニアの物件を一つ売り」、「そのお金でテキサスの物件を二つ買う」のです。当然、キャピタルゲイン税などは払いません。上述「1031エクスチェンジ」買い換え特例は、「物件を売って45日以内に、それを上回る価格の物件に買い換える手続きに入る」のが免税の条件なので、賢い投資家はカリフォルニアで50万ドルの物件を売った後に、テキサスの27万ドルの物件を2戸まとめ買い、みたいなことをやるわけです。
テキサスはいま全米でも屈指の値上がり率ですが、数年もすれば価格も上がりきってくるでしょう。その時、広いアメリカをくまなく捜せば「いま旬な値上がり地域」が出てくるでしょうし、或いはカリフォルニアみたいな良い場所のマーケットがクラッシュして安く買えるかもしれません。そしたら、「1031エクスチェンジ」を使って無税で買い換えすれば良いのです…「わらしべ長者」を地でいく、なかなか素晴らしい蓄財法ですね。
日本に住む投資家が、アメリカの投資家みたいに「わらしべ長者」蓄財ができるのかというと、いくつか課題があります。

1)1031エクスチェンジを使えば米国側ではキャピタルゲイン税を免税にできても、個人名で買う場合は、日本側で譲渡所得税がかかる。
2)アメリカ市民でないと遺産税の相続控除が非常に低くなり(6万ドル→約700万円)、税率18〜40%の遺産税が米国でかかってくる。

最近、日本で販売されるアメリカ不動産は、「減価償却目当ての築古木造物件」が多く、私はそれに対して批判的なコラムをいくつか書いています。理由は、「課税所得が相当高い層でないと節税メリットが出ない」、「競争力の劣るアメリカ物件に業者利益をたっぷり乗せて節税と絡めて売り、客に損させる業者が少なからずいる」からですが(【海外不動産】米国の築古木造物件、人気だけれど危うい理由〜「節税ありき」は避けるべき)
さらに根本的なことを言うと、個人所得税を償却節税する前提でアメリカ物件買っちゃうと、上記1)2)の課題がクリアできず、アメリカ「わらしべ長者蓄財」の道が閉ざされてしまいます。

1)日本で償却節税するために、確定申告でアメリカ不動産を個別に申告することになるので、アメリカで物件買い換えるたびに日本で譲渡所得税を必ず払うことになる。
2)日本で償却節税するために、個人名でアメリカ不動産を買うことになるので、保有中に所有者が亡くなった場合、アメリカの遺産税がかかってくる。

つまり、償却目的でアメリカ物件買ったところで、目先の所得税を軽くするだけで、結局、日本でキャピタルゲイン税を払うことになる上に、アメリカで相続リスクにも晒される…「結局、物件売るための方便ではあっても、お客様のためのトータルな資産形成ソリューションになってないじゃん!」というのが、私の見方です。
では、どうすればアメリカの投資家みたいに、わらしべ長者蓄財ができるのか?日本の居住者ステータスを捨てずに、相続にも配慮しながらアメリカ不動産で資産形成をする最良の方法は、私の知る限りでいうと、

1)アメリカでLLC(合同会社)をつくり、そこに不動産を保有させる。
2)LLCは2名以上のメンバーでつくる(夫婦か、自分と子供、投資仲間etc.)
3)相続を視野に入れるなら、ハーグ条約に基づく国際個人信託(international trust)をアメリカでつくり、上記LLCと組みあわせる。

このようにすると、どんなメリットがあるのでしょう?

1)アメリカLLCで不動産を保有しても、上述「1031エクスチェンジ」を使って買い換えればキャピタルゲインかかりませんし、また、日本の個人確定申告にはアメリカ不動産の情報を書かないので、譲渡所得税がかからない(注: アメリカLLCで利益が出ると、その分は配当所得として日本で納税しなければなりません)。
2)LLCを2名以上の利害関係者でつくると、アメリカ物件を売却した時の連邦源泉税(FIRPTA)を回避できるし、メンバー間で持分調整や移転も容易にできる。
3)国際個人信託をつくって相続財産の受益権者を明確にしておけば、アメリカの法廷を経ずにスムーズに遺産相続手続きができ、かつアメリカで遺産税もかからない(注:日本の相続税はかかる可能性があります)。

私の関心事は、「アメリカで値上がる可能性の高い物件を仕込み」、「戦略的に借り換えを繰り返しながら」、「資産形成の途中で税負担をミニマムにしつつ」、「効率よく資産を増やしていく」ことで、その見地から最も効率的と思われる「米国LLC&1031エクスチェンジ」を使う戦略を採用しています。
租税回避が目的ではありません。国に権利を守ってもらう不動産を使って自分の資産が増えるんなら、増えた分の何割かは税金払ってもいいじゃん、という考え方です。ただ、資産形成期に税金があれこれかかるとキツいし加速もできないので、その辺は賢いソリューションを選び取っていきたいものですね。

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