こんにちは、国際不動産エージェントManachanです。今回は2017年9月に「ロシアの首都モスクワ」と、現地不動産事情について書きます。
2017年9月9日・・帝都モスクワへは初めての訪問。日本からヨーロッパ方面への行き帰りに、モスクワ・シェレメチェボ空港での乗り継ぎは何度もやってますが、入国審査やって街に出るのは今回が初めてです(日本パスポート持っていれば大抵の国にノービザで入国できますが、ロシアは事前に大使館でのビザ申請が必要なので他国に比べて面倒臭い面はあります)。
シェレメチェボ空港に降り立つと、最近は「中国旅客大歓迎」モードになっており、ロシアのキリル文字、アルファベットに加えて中国語の広告をかなりの頻度で見かけます。空港を降りて、ウーバーで市内に向かっても、至るところに中国語が…
市内に向かって走ると、まず最初に、モスクワ近郊のベッドタウン・ヒムキ(Himki)の街が現れます。写真のような中高層の集合住宅と、郊外型店舗が並ぶ風景が延々と続きます。
冬が寒いロシアでは、集合住宅を建ててセントラルヒーティングするのが効率的…ということもあって、モスクワ市内のほとんどの住居が集合住宅。ミティノ(Mitino)という、中産階級ファミリーが好んで住むベッドタウンでは、写真のような風景が広がります。
さらに市内に近づくと、都心(クレムリン)から西5㎞、モスクワ川に面した下町の一角を再開発した金融ビジネス街区「モスクワ・シティ」(Moscow City)の高層ビル群が広がります。現時点で、ここがロシア最大のビジネス地区です。2000年前後から建設が始まり、その後、経済状況によって加速したり停滞したり…現在も拡張中です。
写真では黒い煙が見えますが、これはなんと、私が内見したコンドミニアムの敷地内で、木製の看板等が燃えていたものです。幸い、ショールームから距離が離れていたので無事内見はできました。
今回はモスクワシティ内のホテルに泊まりましたが、地上から眺めるとこんな感じです。新宿新都心レベルの高層オフィスビルが4棟。そのうち、1棟はテナントで埋まっているようでしたが、他の3棟はまだ空きが多い感じでしたね。あと数本、高層ビル建てるようですが、見た目、時間かかりそうです。
モスクワシティ内には、立派なショッピングモールがあります。まあまあな数の客で賑わっていましたが、客単価の高い店では閑古鳥が鳴き、安い店だけ人だかりができていました。
写真のレストランは、客単価が80USドル位するらしく、誰も客がいませんでしたが、向かい側のファストフード店は超満員でした。余談ですが、モスクワっ子はファストフード大好きなようで、KFCとかマクドナルド、バーガーキング等がどこにでもありました。
モスクワでは、地上よりも地下に大勢の人がいると聞きました。地下鉄網もご覧の通り四通八達しており、市民の足として定着しています。冬が寒く渋滞も酷いので、市内勤めなら地下鉄駅の近くに住むのが鉄則のようです。
地下鉄駅の構内は、一見の価値ありますね。どの駅も、まるで美術館のようでした。名画、名彫刻が並び、商業広告などほぼありません。これはこれで、凄いな。
モスクワの人々の暮らしは、一言でいうと、質素。物件たくさん見ましたが、4人家族が50㎡程度の、昔の公団住宅みたいな間取りに住むパターンが多いようでした。日本の都市部のマンションよりさらに居住空間が狭い感じ。モスクワの一般的な収入水準に比べて、家賃や不動産価格が高いのが原因なのでしょう。
モスクワの人口は、約1200万人。ヨーロッパ有数の大都市です。ロシア全体の人口は増えていませんが、地方から職とチャンスを求めて人々が集まるので、モスクワやその周辺の人口は増え、都市が拡大しています。
ぱっと見の印象になりますが、モスクワ・シティ内の外国人駐在員向けの一部特殊住戸を除いて、モスクワの集合住宅はどこも生活感が感じられ、空室も少なそうです。海外の投資マネーもあまり入らないマーケットゆえ(逆に、ロシア富裕層による資産の外出しが目立つ)、賃貸利回りはどこもグロス4~6%位で、ある意味健全なマーケットだと思いました。
モスクワの都心近くは、通勤には便利ですが古い建物が多く、買物環境も大して便利でないので、モスクワの給与生活者は、家庭を持つと郊外の集合住宅に移るようです。だから、住宅の坪単価も都心部と郊外部でそう大きく変わりません。ある意味、30年前の東京圏に似た風景ですね。あの頃、東京都心は不便で人口が減り、埼玉や千葉など郊外に人が集まる「ドーナツ化現象」だったので、東京も埼玉も坪単価大して変わらなったのです。今でこそ大差がついてますが…
ロシアの経済は、基本、エネルギー輸出頼み。2013年までは高い原油価格に支えられて羽振り良かったのですが、2014年にエネルギー暴落&ルーブルショックが起こってから、経済の伸びが止まっています。一部回復の兆しもみられるようですが、基本、雰囲気はどんよりして、金回りは良くなさそう。
逆に、2013年以前はとっても高かったモスクワの不動産が今は比較的安く買えるので、ロシアに用事がある方、ルーブル資産で良いと考える方には、購入のチャンスかと思います。たとえば都心部の築30年アパート、リフォーム済50㎡前後が2500万円とかで買えて、グロス利回り5~6%という感じですね。
最後に、私は世界中いろいろ回ってますが、他国と比較した、ロシア・モスクワの印象を一言でいうと、次のようになります。
・モスクワに一番似ている他国の都市は、「中国・北京」。地下鉄発達した首都、四角形のでかい建物が多い、環状道路と放射道路が織りなす都市構造も似ている。
・北京に比べると、モスクワは全体的に高層のオフィスビルが少なく、人通りも少ない(北京が人多すぎなのかも…)
・モスクワの金回りは、北京よりは大分悪いと感じる。足元の景気は見た目、あまり良くない。
・モスクワは都心部を中心にヨーロッパ調の旧い建物が多く残され、ソビエト時代の集合住宅も多い。全体的に建物デザインは中国よりおしゃれで、基本的にヨーロッパ文化圏なのだと感じる。