不動産投資によるゴールデンビザ取得:制度維持の国を一挙紹介

近年、EU加盟国ではゴールデンビザ制度の廃止や規制強化が進んでおり、特にスペインとポルトガルでは不動産投資型ビザの廃止が決定されました。本記事では、今後ゴールデンビザを不動産購入を通じて取得したいとお考えの皆様に、現在も取得可能なヨーロッパの国々と、諸条件についてご紹介します。


ギリシャ

制度概要
ギリシャでは、2014年にゴールデンビザ制度が開始されました。この制度では、一定額以上の不動産投資を行った非EU国籍者に対して、5年間有効な居住ビザ(更新可能)が付与されます。

投資要件
当初は最低25万ユーロの不動産購入が条件でしたが、2023年に主要都市では最低投資額が80万ユーロ、それ以外の地域では40万ユーロへと引き上げられました。ただし、低需要地域では従来通り25万ユーロの条件が維持されています。住宅ローンの利用はできず、全額自己資金での購入が必要です。

居住権の取得・維持条件
5年間の居住権が取得でき、配偶者や子どもなどの家族の帯同も可能です。現地に実際に住む必要はなく、最低滞在日数の要件もありません。投資物件を継続保有することが条件で、7年以上の継続居住により市民権の申請も可能です。

不動産市況動向
2024年第3四半期時点で、都市部の住宅価格は前年比で約7.3%上昇しています。外国人投資家の需要が高まり、2023年の外国人による不動産購入額は前年比68%増の30億ユーロに達しました。


マルタ

制度概要
マルタでは、2021年に「マルタ永住権プログラム(MPRP)」が導入され、不動産投資と政府への寄付を通じて即時に永住権を取得することが可能となっています。シェンゲン域内での自由な移動も認められています。

投資要件
以下の3つの要素が必要です:
① マルタ本島またはゴゾ島で、年間14,000ユーロ以上の住宅を5年間賃貸、もしくは37.5万ユーロ以上の不動産を購入すること
② 政府協力金として、不動産購入時は3万ユーロ、賃貸時は6万ユーロを支払うこと
③ NGOへの2,000ユーロの寄付
加えて、総資産50万ユーロ以上(うち金融資産15万ユーロ以上)の証明が求められます。

永住権の取得・維持条件
取得後の最低滞在要件はなく、マルタに居住し続ける義務もありません。初回申請時に数週間の滞在が推奨されます。不動産は5年間保有し、転貸は認められていません。

不動産市況動向
2024年第4四半期には、住宅価格が前年比で5.2%上昇しています。特にアパートの価格が堅調で、全体として年間5%程度の成長を維持しています。


キプロス

制度概要
キプロスでは、不動産投資によって迅速に永住権を取得できる制度が設けられています。

投資要件
以下のいずれかで30万ユーロ(VAT別)以上の投資が必要です:
① 開発業者から購入する新築の住宅またはアパート
② オフィス、ホテル、商業施設などの不動産(中古も対象)

永住権の取得・維持条件
書類審査を経て永住許可が付与されます。配偶者、18歳未満の子ども、25歳以下の扶養子、両親も対象に含まれます。2年に1回の訪問が求められますが、それ以外の居住義務はありません。投資資産の継続保有が必要です。

不動産市況動向
2023年には前年比8.3%の価格上昇が見られ、2024年第3四半期までに約7%の上昇が記録されています。ただし、2024年後半からは外国人投資需要の鈍化により、調整局面に入る兆しが見られます。


ラトビア

制度概要
ラトビアでは、2010年より不動産投資による一時居住許可制度を導入しています。最大5年間有効のビザが取得可能です。

投資要件
最低25万ユーロの不動産購入が必要です。農地や森林は対象外であり、物件は5年間保有する義務があります。

居住権の取得・維持条件
申請から2〜4か月で許可が発給され、更新が可能です。年に1回以上ラトビアを訪問することで、居住権を維持できます。

不動産市況動向
2024年第4四半期は前期比で0.2%の微減となりましたが、高級住宅市場は引き続き堅調で、年間では約8%の価格上昇を記録しています。


ハンガリー

制度概要
ハンガリーでは、2024年7月に「ゲストインベスタープログラム(GIP)」が再開され、10年間有効な居住許可が付与されます。

投資要件
以下のいずれかが必要です:
① ハンガリー国立銀行が認可した不動産ファンドへ25万ユーロ以上を出資(ファンド資産の40%以上が住宅不動産に投資されていること)
② 公共目的の教育支援基金などへの100万ユーロ以上の寄付(返金不可)
※現時点では、直接の不動産購入による申請はできません。

居住権の取得・維持条件
事前承認を取得後、投資を完了することで10年間有効なビザが発給されます。配偶者や子ども、扶養親族も対象となります。滞在義務はなく、自由な往来が可能です。8年以上の居住により、市民権の申請も可能です。

不動産市況動向
2023年には、ブダペストで約15%の価格上昇が見られました。2024年前半は取引件数が減少し、やや調整局面にありますが、中長期的には引き続き成長が見込まれています。


終わりに

ゴールデンビザ制度は、単なる居住権の取得手段にとどまらず、将来的な資産防衛や、グローバルな生活基盤の構築、さらには次世代への継承戦略としても注目されています。不動産市場の成長性や制度の安定性、家族帯同の可否など、各国の条件を慎重に比較・検討することが重要です。
なお、各制度は予告なく改正・廃止されることがあります。

ご興味を持っていただいた方は、無料でのオンライン面談を行なっていますので、ホームページよりお気軽にお申し込みください。

申し込みはこちらから

国際不動産エージェントでは、海外不動産や国内不動産の物件情報など
不動産投資に役立つ情報を週に1回から2回、メルマガ配信をしております。ぜひお気軽にご登録ください。

メルマガのご登録はこちらから
Translate »