こんばんは、国際不動産エージェントManachanです。いつもご愛読ありがとうございます。
クリスマス&年越しの時期は、静かでいいですね。日本も欧米圏も仕事がスローになり、メールの受信数も普段の3分の1程度。おかげさまでブログを書く余裕もできます。願わくば、年末年始以外も著作に十分な時間かけられるようになりたいですが、多忙なスタートアップ経営者の身、それは少なくとも数年先でしょうね。
今年、海外不動産業界のトップニュースといえば、何といっても、海外中古不動産に対する減価償却ルールが変わったこと。
「2021年以降、個人が海外で得た不動産所得の計算上において損失が生じた場合、簡便法によって導き出した耐用年数で計算した減価償却費は生じなかったものとみなされ、その部分を他の所得と損益通算できなくなる」
それでいま、業界に激震が走っています。特にアメリカの中古木造住宅を日本向けに売る多くの業者は、「最初の4年間、減価償却で節税できまっせ」セールストークで売ってきましたが、今回の税制改正で、その種の商売は封じられたも同然。特に、テキサスやハワイで日本販売用に大量の戸建を買い取り保有していた日系業者も少なくなく、よほど安く仕入れてない限り、間違いなく不良在庫になるでしょう。
加えて、多くの不動産オーナーから「もう節税できなくなるなら売って欲しい」依頼が予想されますが、市場流通価格に業者利益(20~30%か、それ以上)を乗った価格で買ってしまった場合、今のタイミングで売っても損切りにならざるを得ない。それが明るみになる時、「おたくの会社そんなに利益とって客に売ってたの?」「なぜ全然説明しなかった?」みたいなクレームの嵐になることが、容易に想像されます。
節税ありきで商売していた日系業者にとって、2020年は間違いなく厳しい年になるでしょう。
税制が変わっただけで、なぜこんな結果になってしまうのか?私からみて、業者側のビジネスモデルに根本的な問題があるように思います。
2) お客様が様々な動機で相談に来るにもかかわらず、「弊社物件を買いに来た客」という前提でセールスマンが応対する。
3) 比較的良心的な業者でさえ、現行ビジネスプロセスは「物件選定→契約→融資→管理→売却」。つまり「物件選定」が最初に来る。
これでは、国内ワンルーム販売業者等と同様、「はめ込み営業」(=自社都合で売りたい物件を客にあてがう)が横行してしまいますね。
これは私の個人的意見ですが、「物件選定」の前にやるべきことが最低2つあるはずと考えます。
Step1 : 適性相談(お客様のニーズ、財務目標、資産背景、気質や外国耐性を踏まえつつ、海外不動産のオーナーになって幸せになれそうかをプロの目で見極める)
Yesの場合、次のステップに進む
Step2: 国選び、都市選び(お客様の予算、期待する収益、投資安全度やリスク選考を踏まえつつ、世界にあまたある国、都市のなかから、不動産価格サイクルも見ながら、どこを選ぶべきか考える。
Step2までやって初めて、「物件選定」プロセスに入るのが本筋だと思います。税制改正で安易な節税売りが封じられた今、Step1と2をプロのレベルでやるかどうかが、海外不動産の販売会社とコンサルタントを分ける境界線になるのでしょう。それを可能にするために、私は場所を決めず、世界各国各地の不動産事情に、誰よりも通じた人間になりたい。