1)社会経済の概況
全体として農業国の色彩を残した工業国といった印象。欧州の旧共産圏のなかでは、クロアチア、セルビア、ルーマニア、ブルガリアよりは経済状況は良いが、チェコやポーランドと比べるとやや見劣
りする。一人あたりのGDPは1万5千ドル前後。通貨フォリントはチェコ(コルナ)やポーランド
(ズロチ)と比べると動きが弱く、対ユーロの為替はここ10年じりじりと下がっている。先進国一歩
手前で足踏みしている上位新興国といえるかも。
人口規模はチェコと似て約980万。うち50万人がドイツやオーストリア、英国に出稼ぎに出て
いる、逆にハンガリーに働きに来る外国人労働者や経済移民はごく少数。現時点ではハンガリー人
主体の単一民族国家に近い状況。首都ブダペストは都市圏人口300万を超える中東欧最大都市で、
多様な産業が発達している。また美しい街並みや独特の温泉・グルメ文化を活かした大観光地
でもある。
また国中に温泉が湧いており、ドクターの報酬も割安なため医療リゾートとしても競争力がある。
生活物価はざっと、チェコの5割引き、ドイツ・オーストリアの半額といった感じ。滞在費は安上がり
かつブダペストは中欧のLCCハブでもあるので、欧州全土から若者が観光や短期滞在にやってきている。
「ブダペストのシャンゼリゼ」と呼ばれるアンドラーシ―大通り
2)不動産市場・制度の概況
他のヨーロッパ諸国と同様、都市部の住まいは中古集合住宅が主流、建物の階層は通常5階建て
程度に揃う。チェコと同様、ブダペスト圏は慢性的な住宅不足で可処分所得に対する賃料や不動産
価値は上がりやすい。権利体系は土地建物の完全所有権が自国民にも外国人にも認められる
西欧先進国型。
VATが27%と欧州内最高税率であるのに対し不動産購入の税負担は安く。購入時に4%、
保有時の税金は無視できるほど小さい。売却時のキャピタルゲイン税は初年度20%から、
1年経つごとに4%ずつ減る仕組みで。保有6年目を超えるとゼロになる。
チェコ同様、ハンガリーも2014年前後から不動産価格の上昇がはじまり、年率15~20%の
上昇が4年ほど続いている。不動産保有における税負担が安いのと、ウィーン等と比べると割安感
がある(都心部で半額~3分の1)ため、オーストリアやドイツ、スイスから投資マネーが流入
している。
ブダペストの住宅単価はプラハの1~2割引という印象で、一番人気の5区ではエンド価格が
平均5000ユーロ/㎡(坪単価@210万円)に達している。近郊の良い場所(6,7,8区)で
3000ユーロ/㎡(同@160万)程度。所得・物価水準に対する割安感はすでになく、賃貸利回りもプラハ同様グロス4~5%程度。
3)ハンガリー(ブダペスト)不動産投資の狙い
プラハと同様、今後の伸びしろは多少あるにせよ、すでに2014年のボトムから60%ほど値上がりしてしまった今、「数年間ホールドして家賃取って売却益狙い」がおいしい時期は過ぎている。
攻め方としては、都心5区、7区あたり中古建物を買って、1~2フロアを増設、バリューアップして
フリップする話がある。1年程度でプロジェクト利益が20%取れるのが相場のようだが、
近隣住民の同意や建築許可など、それなりの難易度が伴う。
【物件例-1】ブダペスト8区、都心型駅前物件(2018/6/16現在)
ブダペストの中心地、Kálvin tér地下鉄駅とショッピングセンターから歩いてすぐ、内装込みで10万ユーロちょっとで買えます。1部屋+バルコニー。入居には困らずグロス利回り5.5%弱(税金とか管理費を差し引いたネットだと4%前後)。
平米単価3000ユーロ強なので、値上がったとはいえヨーロッパの首都中心地としては割安感があります。
「1500万円でヨーロッパの美しい街に自分の不動産持ってみたい」方にはおすすめできます。
【物件例-2】ブダペスト13区、「ドナウの真珠」を独り占めできるリバーサイドアパートメント(2018/6/16現在)
ブダペストは「ドナウの真珠」の異名を持つ美しい街。その中心地から車で10分、マルギット島のすぐ北、交通至便な割にドナウ川の自然が豊かに残る一角にたたずむ高級アパートメントをみました。とても良いですね。
写真の通り、バルコニーからドナウ川のマリーナを一望、メインベッドルームからも眺望あり、マリーナは自己使用可能。日本人的にはバストイレ別が嬉しいかも…
さらに詳細は…ヨーロッパ不動産勉強会(2018/7/19(金)16:00~@東京半蔵門会場)で。
Reported by 国際不動産エージェント 鈴木学
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