ベルリンの不動産事情(2018年2月)

ドイツの首都・ベルリンは、東京23区より広い面積に、350万人が暮らす緑豊かな都市。ドイツのなかで最大の都市とはいえ、パリやロンドンと比べると数分の一のサイズ、国際空港もこじんまりしています。
 
ベルリンが世界的にユニークなのは、つい27~8年前まで社会主義国・東独の一部であった「東ベルリン」と、資本主義国・西独の一部であった「西ベルリン」に二分されていたこと。「街の半分がもと社会主義」であった事実が、 今日でも都市ベルリンの生態に大きな影響を与えています。端的にいうと、
・旧・西ベルリン地域には、4~5階建の集合住宅からなる、落ち着いた感じの住宅街が多く、旧・西独の都市に似た風景が広がる。
・旧・東ベルリン地域には、社会主義時代に建てられた中高層の無機質な建物が多い。また資本主義的な意味で「何もなかった場所」だったので、いま都市開発の多くが東側で行われている。
・つい数年前まで、旧・東ベルリンの住宅街は家賃が非常に安かったため、若者や移民の集まる猥雑な場所も多い。同時に若者に人気のトレンディなスポットも東側に多い。

 
また、ドイツの首都かつ最大都市とはいえ、「もと社会主義の地域」を半分抱えるベルリンは、今日においても市民の所得水準は旧西独のミュンヘン、フランクフルト等に及びません。物価もドイツの大都市としては安い部類に入るようです。裏を返せば、ロンドン、パリ、東京など一極集中の首都に比べて、ベルリンはまだ成長余地が大きい都市で、東側を中心に不動産開発も盛んなので、近年は海外(特にロシア、ドバイ、中国等)投資マネーの大きな流入があり、不動産売買価格が急上昇しています。
 
賃貸市場面からいうと、東欧圏や中近東からの人口流入と住宅難を背景に賃料が上昇傾向にあり、旧東ベルリン側の非常に賃料が安かったエリアでも含めて上昇中。2015年時点で同市内賃貸住宅の約半数が平米9ユーロ超の月額家賃(※1坪あたり約4000円。入居者の支払額ベースでは5~6000円)。年率約3%で上昇を続けています。
 
そして、家賃上昇を大きく上回るペースで不動産価格の上昇が進んでいます。前出統計データによると、2015年のベルリン市内のマンション・アパートの64%が、売買価格の平米単価3000ユーロ超(※1坪あたり135万円)。実質利回りは3%台前半といったところで、すでに割安感のあるマーケットではなくなっています。
 
今回(2018年2月)、私はベルリン各地の住居・商業物件を内見しましたが、3年前に視察した同行者が、急激な価格上昇ペースに驚いていました。「当時は坪150万円だったところが、いまは軒並み坪250万円だなあ」と。案内した不動産業者も強気一辺倒で、マーケットの過熱ぶりが見てとれました。

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