おはようございます。国際不動産エージェントManachanです。今日もバンコクは良い天気。気温は最低27℃最高34℃…いま日本は酷暑のようですが、当地のお天道様も元気一杯ですよ~。
一年中暑い気候。タイ人は肉体労働者や、屋台で食べ物を売る人を除き、昼間外を出歩く人は稀です。ホワイトカラーは一日中、冷房の効いた室内や車内に居ることが多いです。ですが我々調査チームは日々、4リットル程の水を飲みながら、バンコクの炎天下をガンガン歩いてきました。
8日間もそれ続けてきましたので、私はすっかり日焼けして、外見がほぼタイ人労働者になりました。現地人ルックスでバンコク各地を歩くと、いろいろと見えてくるものも多いです。
今回のブログは、「足でコツコツ稼ぐ現地調査」を通じて感じたバンコク投資物件の場所選び、駅選びがテーマです。日本の都市部と同様、バンコクでも投資視点からみて「買って良い駅」と「買ってはいけない駅」があると思います。
現地在住日本人に一番馴染みの深い、BTSスクンビット沿線を例にとってみてみましょう。
まず予備知識として知っていただきたいのは、
・バンコクのBTS(都市鉄道)は、都心「サイアム」駅を基準に、ナンバリングシステムが採用されている。スクンビット線は東の方向に向かうので「E」(East)が頭文字につき、次にサイアムからの駅数が数字で表される。例えば「アソーク駅」は「E4」(サイアムから東へ4駅目)。
・日本人駐在員やその家族が、集中して住んでいるエリアが、「E4アソーク」、「E5プロンポン」、「E6トンロー」、「E7エカマイ」の4駅。ここはバンコクのなかでも賃料が非常に高いエリアになる。
・現地採用された日本人が賃貸住まいに選ぶエリアとして人気なのが「E9オンヌット」駅。駐在員エリアより家賃が安い。この駅は1999~2012年の間、スクンビット線の終着駅であった関係で、商業施設が多く街が成熟している。
・オンヌットから先は、2012年に開通した延伸区間で、全体として街がまだ未成熟な「郊外エリア」。
今回のブログでは、延伸区間の駅のうち「E12ウドムスック」と「E14ベーリン」を取り上げます。現時点(2015年7月)の結論から先に申し上げると、
・E12ウドムスックは「買って良い駅」
・E14ベーリンは「買ってはいけない駅」
・その根拠は、「駅力の圧倒的な違い」
日本の首都圏にたとえると、「大宮駅」と「東大宮駅」、あるいは「立川駅」と「西立川駅」、「柏駅」と「北柏駅」は、隣接こそすれ駅力に圧倒的な差がありますよね?一駅違うだけで資産価値も断然違います。
それと似たような格差が、「ウドムスック駅」と「ベーリン駅」の間にあると私は思います。写真を見ていただけると一目瞭然。まずはウドムスック駅から、
ウドムスックは、鉄道開業以前からすでに成熟した街で、人がたくさん住んでいました。
住民が多いので当然、病院もあります。成功する不動産投資には欠かせないアイテムですね。
東に約3㎞離れた巨大ショッピングモール「メガバンナー」や「イケア」への無料シャトルも、ウドムスック駅から出ています。
極め付けはこれ!セブンやファミマに比べて店舗数は少ないながらも、秀逸な出店戦略で知られる「ローソン」がウドムスックに出店しています。これは安心感高い!
次に、ウドムスックからわずか2駅離れただけの「ベーリン」駅がなぜダメなのか…これも写真から一目瞭然。
ベーリン駅から東に延びるソイ107の沿道は、別名「激安コンドミニアム街道」と呼ばれています。コンドの分譲広告だらけで凄い風景
ベーリン駅、徒歩3分の場所に大きな空き地がありますが、商業施設等の建設計画はありません。
ベーリン駅周辺は、判で押したように、100~200万バーツの狭小コンドミニアムだらけです。
この辺は郊外ベットタウンエリアなので、商業施設が不動産価格上昇の鍵を握りますが、
・ウドムスック、徒歩5分のところに巨大ショッピングセンターが建設予定。既存のお店も多くて便利。
・一方、ベーリンには、何も建ちません。現状、飲食店が数軒とコンビニが1つだけで、ロクに買い物もできません。
また、日本人など外国人にとって、「タイ語が十分にできなくても便利に暮らせる環境」は不可欠ですが、その意味でいうと、
・ウドムスック駅前のIDEO MIXなどのコンドミニアムは英語ができるスタッフが常駐。また敷地内にマックスバリュー等のスーパーがあります。
・一方、ベーリン駅周辺のコンドミニアム、たくさん回りましたが見渡す限りタイ語しか通じません。また敷地内にスーパーを設けている例も皆無。この街ではタイ語ペラペラじゃないと生活が不便。
最後に、不動産投資家の立場からいえば「住宅需要と供給のバランス」が投資判断には欠かせませんが、
・ウドムスック駅近のコンドミニアムは、概して埋まっており、再販に出る物件は少ない(注…駅から遠いコンドは、その限りではない)
・ベーリン駅圏内のコンドミニアムは、タイ人の間でも有名な位、過剰供給状態。駅4分、築1年のコンドが15%ディスカウントで販売されている状態(売れ残り住居の叩き売りでしょう)。
ベーリン駅あたりの格安コンドは、日本人にも販売されています。売れ残りが多いので、デべ各社はコミッションを払っても売ろうとします。仲介業者としては売れたら手数料が入るので、現地の状況を良く知らない日本人に売るケースが目立ちます。
ですが、こういう物件を買ってしまったら最後、少なくとも今後数年は、満足に賃貸もつかないし、売却しようにもできません。確実に、お金を失います。投資家なら、こんなもの買ってはいけません。
タイは確かに経済発展中で、現地の収入水準も上がってきてはいますが、上の地図にも書いたように、タイ人に人気のあるエリアは都心から北方面であり、スクンビット線の延伸区間(東南方向)はタイ人からみれば「埼京線沿線」レベル位にしか思われていないので、長期的にみても、タイ人中流層に出口をとれる可能性は乏しいと思います。要は、ベーリンに狭小コンドを買う理由は「安い」以外に特に見当たらない。
私は日本人投資家が海外物件から確実に収益を得るサポートをしたい。その立場からいうと、事情のよく分からない日本人に海外の収益性に劣る物件をつかませる商売に対しては、警鐘を鳴らさざるを得ません。
但し、投資は自己責任ですから、私たちは海外不動産リテラシーを高めて、「価値ある物件」を慎重に選び、「お金になる運営方法」で収益を上げる…それしかないっすね。
(追伸)上記は2015年7月時点で書いた考察です。数年経てばベーリン駅を含め沿線の様子も変わりますので、投資の収益性評価もまた変わります。