こんにちは、国際不動産エージェントManachanです。2018年7月、フランス・パリを襲った猛暑の日に不動産視察してきたのでレポートいたします。
7月26日(木)早朝、私はドイツ・デュッセルドルフのビジネスホテルで朝5時起き、早朝から空いてる駅前のトルコめし屋で軽い朝食を済ませ、6時16分発のThalys国際特急で、500㎞余り離れたパリを目指しました。東京~大阪間を新幹線乗るのとほぼ同じ距離、料金は片道139ユーロ(約1万8千円)と結構なお値段。ドイツからベルギーを経てフランスに入るコースで、途中4駅停車(ケルン、アーヘン、リエージュ、ブリュッセル)でパリ北駅まで3時間45分くらいかかります。
実は私、パリ行きの電車に乗った時点で、現地でのアポはまだ取れていない状態でした。7月下旬のヨーロッパはバカンスシーズン。平日とはいえ働いている者が実に少ないのです。6月末に現地業者にファーストコンタクトしたのに現地から連絡が来ない。私からは、パリ訪問が7/26(木)に決まった旨を約2週間前から伝えているのに、訪問2日前にようやく連絡が来て、「金曜日なら時間つくれる」と…でも金曜日はドイツでのアポを何本も入れてしまったので、「とりあえず木曜日にパリ行くから、誰か代わりの社員を手配してよ」とメッセージして、未だに回答を待っている状態なのでした。
「せっかくパリに来たけど今日はやることないかもなあ」と思いつつ、電車は予定の25分遅れで、午前10時半頃パリ北駅(Paris Gare du Nord)に滑り込みました。駅を降りると、写真の通りものすごい人混み!私はドイツに10回近く出張に来てますが、こんな人混みを見たことないので、「さすが大都会パリ」を感じました。
行くアテのないまま、パリ北駅から、とりあえず業者の最寄り駅Villiersまで、地下鉄で向かう。この日のパリは午前中いきなり33℃。午後のピークが36℃という猛暑日。しかも地下鉄の駅構内も車内も冷房ないので(泣)、私を含めて誰もが汗だく。パリに暮らす雑多な人種のアロマ(というか体臭)をたっぷり嗅ぎながらの移動になりました。
途中の乗換駅バルべス・ロシュシュアール(Barbès – Rochechouart)周辺の胡散臭さが最高でしたな。この辺、車内をみる限りヨーロッパというよりアフリカの国に来た感じだもん。
バルべスという地区は、パリ北東部、治安悪いとされる18区に位置します。モンマルトルの丘からほど近く、駅構内から賑やかな商店街が見えるのですが、案の定ここで違法ドラッグの密売とかやってるようです。ここはフランスにおけるアフリカ音楽のメッカでもあるらしい。実は私、こういう怪しげでカオスな街が大好物なので、時間あれば歩いてみたかったです。
バルべスで地下鉄2号線に乗り換えて、西へ向かうと、だんだんヤバい感じが薄れてきます。8区のビリエ(Villiers)で降りる頃には、歩く人は肌の白いパリジャンが多くなり、駅構内に小綺麗な八百屋さんがありました。
駅を降りて外を出ると、「いかにも帝都パリ!」な、かっこいい有名な街並が広がっていました。路面の喫茶店のオシャレさがたまらんですね。パリのこういう面をみちゃうと、地球上の全ての都市がダサくみえてしまう、まさにパリ・マジック!この美しくシックな街並みを守るために、市民は並々ならぬ努力を続けています。
Villiers駅近くで私の知り合いが持ってるアパートメント。ファサードが素晴らしいですね。物件というより芸術作品。
パリの集合住宅には、このような呼び鈴と、表札(?)があります。何軒か見ましたがどこも住民で埋まってますね。パリ市中は新築が建たないので空室率が限りなくゼロだそうです。
バイクシェアは世界中どの都市にもありますね。パリ市内は歩道が狭くて交通量多いから自転車は結構難儀しそう。
しばらく西へ歩くと、世界一有名なあのストリート「シャンゼリゼ」がみえてきました。広い車道のはるか向こうに凱旋門がみえます。当然ながら、観光客であふれていました。
すでに午後1時、シャンゼリゼ界隈を歩いていると、ようやく、現地の業者からWhatsappで連絡が入りました。職員が手配できたので、2時からオフィスに来てくれと…これでようやく、アポなし状態が解消されました。そのオフィスは、シャンゼリゼから東へ10分ほど歩いたサントノーレ(Saint-honoré)地区にあります。この一帯はいずれも8区に属し、ほぼ全域が観光地といえます。
午後1時過ぎのパリは36℃の猛暑!東京と比べて湿度低いとはいえ、炎天下はとにかく太陽ギラギラ、暑い!この街はロクに冷房インフラがないので参りました。死にそうになりながら、何とか喫茶店を見つけて冷たい紅茶で涼みました。
午後2時、現地業者に会ってようやくミーティング。この時節、フランス人社員の多くは休暇を取りますが、アジア人社員は休まず働いてるようで、私のお相手してくれたのが中国杭州出身、在仏3年の女性社員でした。お互い、中国語が通じて便利!彼女はフランス語がまだ十分に流暢でなく、同僚と話す時もフランス語に英語が混じる状況で不自由さを感じながら働いていたらしく、久々に中国語で話せてとても喜んでいました。
築百年超の集合住宅が圧倒的大多数を占めるパリ市内。以前から住宅不足が続き、賃貸住宅はほぼ空室ゼロ、売りに出る物件も大抵賃借人がついているので、事前にアポを取らないと内見は難しいのですが、「中を見れる物件が一つでもあれば見たい」と無理にお願いして、なんとか3時過ぎに、16区と8区の境、マルソー通り(Avenue Marceau)32番地の高級レジデンスを見ることができました。
場所は、申し分ありません。シャンゼリゼから徒歩3分、凱旋門まで徒歩5分という、すごい立地。
内装は、こんな感じ。最上階で2フロアある、4ベッドルームの住宅(というか邸宅)。
築数百年経っていることもあり、エレベーターなどの利便設備はスペック控えめ。ヨーロッパの集合住宅によくありますが、ここも3人しか乗れないドア付きエレベーター(やや監獄チック)。
窓からみえる風景が、「いかにもパリ~!」で素敵ですね。こんな家で寝起きしてみたいな。
シャンゼリゼエリアなので、お値段はパリで1番高い部類に入ります。平米単価2万ユーロ(坪単価@800万円)近辺で、東京の赤坂・表参道など一等地の新築レジに相当する値段ですね。
パリ市内の住宅平米単価は平均9千ユーロ(坪単価@385万円)なので東京の都心五区平均と大差ないですね。全部で20区あるなかで、平均単価が一番高いのがセーヌ河南岸の6区で、近隣の5区、7区と、北岸の1区、4区、3区あたりが続きます。上記物件は8区と16区の境ですが、どちらの区の平米単価は1万ユーロ近辺で、シャンゼリゼの周辺だけが局地的に高額(2万ユーロ)になっています。
上に紹介した18区バルべス地区など、治安に問題あるとされる北東部が安くて7千ユーロ近辺(坪単価@300万円)、さらに北のサンドニなどパリ市外になると単価はさらに安くなります。
パリ市内の賃貸利回りは低く(グロス2~4%)、かつ入居者に有利な法体系で、オーナーが払うべき税金も安くないので、利回りで回すのには向きません。その代わり、住宅不足と旺盛な需要を背景に、パリの不動産価格は上がり続けており、安定した資産として長期保有するのに向きます。直近15年でみると20区中19区中が価格上昇。周辺区では2倍を超えています。
不動産内見終わると、お相手してくれた中国人社員とワインで乾杯(フランスの基本ですね)。外はものすごく暑く、店内も冷房ないけど外よりはマシということで、ゆっくり飲みました。彼女はフランス生まれの中国人の旦那(ほぼフランス語しか話さない)との共稼ぎ。パリの良い地区(16区や8区)で、50㎡くらいのささやかなマイホームを60万ユーロくらいで買いたいそうです。日本と違って過剰供給があり得ない場所だから資産価値は保たれるでしょうね。
閑話休題、フランスでもEUから離脱したい動きはあるようです。いろいろあるんですね。
日の長い夏のヨーロッパ。いつまで経っても35℃を下回らない酷暑のなか、最後は凱旋門を心ゆくまで眺めて、ドイツへの帰途につきました。