反日、親日のナンセンス

おはようございます、国際不動産エージェントManachan@仙台出張中です。
 
国際捕鯨裁判の判決が出ましたね。日本が行ってきた「調査捕鯨」が条約違反とされ、完全な「敗訴」…日本中から失望と憤りの声が聞こえてきますが、
捕鯨の是非はさておき、日本が数十年間、行ってきた「調査捕鯨」なる活動は、そもそも「捕鯨反対」文化圏の人々からすると、極めて理解しにくいと思います。つまり、
日本の主張:鯨は「食べる」もの。人類の蛋白源として重要なのだから、個体数や挙動など、科学的研究目的で、頭数を管理しつつ捕鯨をすべき。
反捕鯨国の主張:鯨は「慈しむ」もの。「食べる」なんてとんでもない。なぜ、科学的研究目的で鯨を殺す必要があるのか?
そもそも、鯨が食べ物なのか否か?という前提からして、お互いに合意できない。はなから平行線なのだから、生産的な議論が成り立つわけがないのです。
 
これと似たパターンの話で、
「中国、韓国、北朝鮮は反日国家」
「台湾や、東南アジアの大部分は親日国家」
「台湾人はいいけど、反日国家の中国(大陸)人に日本の不動産を売らないで欲しい」

みたいなことを言う人がいますが、私、彼らと、まともに議論が噛み合ったためしがない。なぜなら、
 
中国(人)を、「国家」という単位でとらえるのか、あるいは「個人の集合体」ととらえるのか?
という、前提自体が合意できていないからと思います。
 
日本人自身を含め、どの国民であっても、「個人」であり、同時に「国家の一員」でもあります。「国家」というものは、「国民各層」の願いに基づいて動くこともあれば、時には、全く別の行動原則で動く面もあります。
国家としての思想・行動原理を「マクロ」、国民個人やグループ(エスニックグループ、業界団体、地方自治体など)の思想・行動原理を「ミクロ」とするならば、「マクロ」と「ミクロ」が、どのような原理で動き、どのように相互作用するのか、ある程度、妥当な理解をしないと、国家論なんて語ることは無理だと思う。
 
特に私は、実践家、事業家なので、常に「ミクロ」を重視したい気分が強い。だから、次のように考えることが多い。
ミクロを理解せずして、マクロを理解することができるのか?
個人レベルの中国人を理解せずして、中国という国家を理解することができるのか?
 
「ミクロ」重視とはどういうことなのか?大家さん(不動産賃貸事業者)という世界から眺めてみましょう。
私は長年にわたる、不動産大家としての経験があります。これまで、いろんなことがありました。入居者の夜逃げや強制退去、ローン借り換えの失敗も経験しましたし、空室対策のため、地元不動産屋に手作りの物件チラシを配って営業もしてきました。
 
賃貸経営なるものを、自らリスクを追って長年実践してきた、失敗も成功もしてきた、泥臭いこともたくさんしてきた。そんな自負があります。だからこそ、
自ら賃貸経営を体験することなく、統計数値だけこねくりまわして、「東京の不動産市場がどうのこうの」と、分かったように言う人が好きではないし、信用もしません。
 
それと同じ理屈で、
ナマの中国人を知らずして、「中国がどうのこうの」、「親日、反日うんぬん」と、分かったように言う人も好きじゃないのです。
 
私は日本人ながら、中国語(北京標準語)を流暢に話すことができます。そのスキルを、長年にわたり、ビジネスやプライベートに活かしてきました。
「中国がどういう国」、「中国人がどういう国民」と、一般化して語るのが、全くもってナンセンスだと思う位、たくさんの中国人の友人知己を持ちすぎてしまいました。たとえば、
・中国・大連で働き、中国の各地方出身の、最大時15名の直属部下を持ち、チームを動かした経験があります。
・大連勤務時に、約100名の社員からなるロータス・ノーツの技術チームを立ち上げ、いくつかのプロジェクトを回した経験があります。
・私がチーム立ち上げに苦労していた頃、協力的だった中国人の同僚とは、今でも良いお付き合いをしています。
・2010年から、中国語で不動産ブログを書き始め、累計45万ヒットを超えています。
・先月行った、台湾セミナーでも、香港セミナーでも、私のブログ読者が来てくれました。

 
昨日も弊社の五反田オフィスに、日本移住&不動産購入相談のため、中国人の女性にご来訪いただきました。日常的に、そういう経験をしてしまうと、中国人、台湾人、香港人…という国民レベルよりは、どうしても「個人」レベルで考えてしまうのです。良くも悪くも。
いま、反日、親日云々・・・という人は、「個人」レベルで中華圏人との付き合いの経験も理解も十分でないから、「国民」レベルで概念操作する以外ないのかな?と、思ったりするわけです。
 
彼らに対して、いろいろ、言いたいことありますが…なかでも一番、ナンセンスだと思うのは、西尾幹二氏などが著書などで言っている、
日本に来ている中国人の研究者も留学生も、みんな情報戦を担っている(だから、日本を守るために鎖国すべきだ)」という議論。
 
当然ながら、いろんな中国人がいるわけですが、私が付き合っている人は、中国の外に出たり、中国の外資系企業に勤めるような、「意識が開かれた」人が多い。でもって、彼らの大多数は、国家利益よりも、素直に自己利益を追求する人たちだと思います。
富裕層になるほど、子供に外国のパスポートを取らせ、海外にせっせと財産を出すような彼らが、祖国のために、そんな一糸乱れぬ行動をするとはどうしても思えない。
なぜ、中国人が個人レベルでそんな行動を取ると思うのか、ロジカルな説明を聞いたことが一度もないのです。
 
西尾氏とか、著書こそ書いてますけど、彼はたぶん中国語できないし、私ほど中国人との付き合いはないはず。要は、分かってない。だから、そんな珍説を展開するのかと思ってしまいます。
今回の日記、何だかキツイ文体になってしまいましたね。
私、たまにはキツイこと書きますけど、実際に会ってみれば、極めて牧歌的な風貌の、柔らかいキャラクターの人間ですので・・・その辺、誤解しないでね。

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