こんばんは、国際不動産エージェントManachanです。ここケアンズは、きれいな満月の、静かな夜です。皆様いかがお過ごしでしょうか?
前回(後編)、「オーストラリア不動産市場に参入する方法」を詳しく書きました。現時点で、「40万豪ドル(約3500万円)が参入の最低ライン」というが私の偽らざる意見ですが、「敷居が高いなあ…」と溜息をついた方も少なくないでしょう。
大丈夫です。いま40万ドルなくても、お金をつくる方法はたくさんあります。読者のなかには、ご自身の事業や仮想通貨取引で、すでにお金をつくった方もおられることでしょう。
オーストラリアが大好きで、すぐにでも移住したい、という方々に、移民国オーストラリアはいつでも門戸を開いています。但し、必ずしも敷居が低いわけではありません。例えば投資永住権の場合は、年齢制限も英語力要件も滞在日数要件ありませんが、その代わり10億円以上の投資金額が求められたりして、本当に一握りの富裕層向けです。
それよりむしろ、技術移住(Skilled Migrant)の方が、多くの人により現実的だと思います。かくいう私も、永住権こそ妻(豪州籍)にスポンサーしてもらいましたが、実質的には技術移住した一人です。
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【わたくしの年表】
1997年(28歳) 日本で会社勤めしながら、オーストラリア移住を決意し、「移住3年計画」を立てる。「IT技術者」として移住するために、外資系企業に転職しシステムエンジニア稼業を始める。
1998年(29歳) オーストラリア永住権(仮ビザ)を取得。
2000年(31歳) 日本の職場で3年間経験を積んだ時点で退職。オーストラリア・シドニーに渡り、就職活動開始。
2000年5月 渡航後休む間もなく、現地系、日系の転職エージェントに履歴書を送りまくる。
2000年6月 エージェントとの面談を通じて、先方の企業との面接アポがぼちぼち入り始める。
2000年7月 企業との面接アポが日々入り、忙しい日々を送るが、11社連続で落とされる。8月初めに、日本に一時帰国するので、それまで結果が「スカ」だったら嫌だなあと不安に思う頃、12社目のチャレンジでIBMに拾ってもらい、無事内定を得る。
2000年8月 IBMで勤務開始。職種はLotus Notes Developer(ロータスノーツ開発者)、年俸は6万5千ドル。
2002年8月(33歳) シドニー郊外Parramattaにてローンを組んでマイホームを購入。
2004年11月(36歳) オーストラリアIBMで人員整理があり、将来に不安を感じていた頃、中国・大連のIBMでのITチームリーダー急募の話があり、応募。
2005年1月 中国IBMに内定を得る。
2005年2月 オーストラリアIBMを退職。シドニーのマイホームは賃貸に出し、中国に渡る。
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31~36歳まで、5年弱の期間でしたが、シドニーでの暮らしは本当に楽しく実り多いものでした。特に、「英語圏でプロフェッショナルな職に就けた」ことと、「不動産買って資産形成もできた」ことは、その後の人生に大きな自信になりました。
私の後に続いてオーストラリア移住したい、現地で就職して身を立てたいという方々に、私は協力を惜しみません。実際これまでも採算度外視でたくさん時間を使ってきました。なお、移住経験者の立場から言いたいことは、
1)移住希望者向けに、キャリアコンサルティングが、もっと必要だと思う。
オーストラリアの場合、ビザの申請代行や、ワーホリ向けのサービスはそれなりに多いですが、移住者がオーストラリアでどんな仕事について、どれ位の給料を得られるのか?みたいな情報は質量ともに少ないと感じます。例えばの話、
オーストラリアの職業別の給与水準を知るサイトPayscaleは、もっと知られて良いと思います。
http://www.payscale.com/research/AU
たとえば、私のようなIT職で移住する場合、
Software Engineer / Developer / Programmerだと、全国平均の年俸が69,967ドル(615万円)
より経験を積んで上級の技術職になると、平均91,455ドル(805万円)
管理職コースにいってProject Managerになると、平均104,948ドル(925万円)
オーストラリア渡航後、いくら給料が取れそうかが大体わかれば、居住地やライフスタイルもある程度類推がつくし、また自分の専門分野がはっきりしてない方は、今後どんな専門を身につけるべきか、課題も見えてくると思うので、とても有益だと思います(かつての私だって、移住後就職しやすい専門分野で経歴を積むために、日本で3年かけて準備したのです・・)。
2)移住後、どんな「社会階層」の暮らしを手にできるか、もっと情報提供が必要だと思う。
身も蓋もない話かもしれませんが、オーストラリアにもどの国にも「階層」(Class)があって、それぞれの階層に属する人が経済力に応じた暮らしを送っています。日本人が移住しても、結局は、オーストラリアのどこかの「階層」に収まることになります。
オーストラリアの大部分を占める「欧米系白人」は、生活水準別に4つのカテゴリーに分かれるように思います。
1)白人超富裕層 (人口構成比1~2%以下)
ビーチ際の豪邸住まい、クルーザー数台持ち、大きなビジネスのオーナーか親からの遺産で莫大な富を所有。
2)白人中流層(人口構成比30~40%)
高学歴で専門職を持ち、たいてい共稼ぎで世帯年収15~30万ドル。教育熱心。環境の良い郊外住宅地か都心近くのマンションに住む。彼らの生活水準は日本の中流層より高く、ある意味「憧れのオーストラリア暮らし」話の題材になりやすい人々。
3)白人庶民層(人口構成比50~60%)
いわゆるフツ―の人々。ショッピングセンター店員、工場の行員、小商店主など、様々な職業に従事。生活は質素だが、大人一人あたり車一台はくらいは持っている。庭つきに住みたい人は都心からとっても遠い郊外住宅地か、通勤が嫌なら都心近郊の平均的なマンションかタウンハウスに住む。
4)白人貧民層(人口構成比5~10%)
資質、素行に問題の多い人々。ドラッグ、酒浸り。刑務所とシャバを行き来している人が多い。都市近郊のハウジングコミッション(公共住宅)に住む人が多い。
日本から移住する場合、ほとんどの人は「2)中流層」か、「3)庶民層」のいずれかの階層になります。もし、ITエンジニアのような専門職について、経歴を積んで10万ドル程度の年俸を得るようになれば、とりあえず「2)中流層」相当にはなります。
但し、今のシドニーやメルボルンは不動産価格の高騰が著しく、自分の稼ぐ10万ドル+配偶者の給料程度では理想の家に住むことはまず無理です。地域にせよ間取りにせよ、最初のマイホームはかなり「妥協」することになると思います。まあまあ良い給料もらってる白人さんも、同じように苦労してますので…
でも、この国で「2)中流層」の生活を維持するには、給与収入だけでは無理です。何らかの投資をしなくてはなりません。これはオーストラリアの掟!
これは強調したいですね。というのは、まあまあの給料もらっていても、投資をしなかった故に、中流層の生活を維持できなかった日本人の仲間が相当数いますので…
投資商品は数多くあれど、「不動産」がオーストラリアで最もポピュラーな投資対象であることは間違いありません。この国で金持ちになった人のほとんどは不動産を所有しています。そして、オーストラリアは相続税がありません。
もし、オーストラリアに渡航して、無事就職できたら、是非、この国の不動産投資を学びましょう。最初は小さくても良いので、まずは自分の物件を持つことをおすすめします。なお、元手はそんなに要りません。この国で働いていれば、頭金2割くらいで良いでしょう。