こんにちは国際不動産エージェントManachanです。北米出張もいよいよ終盤、今はカリフォルニアにいます。今回のブログは、数日前に訪れた「カナダ•トロント」の不動産について書きます。
トロントは、カナダで最大、北米でも3位4位を争う大都市です。都市圏人口は600万人台、公用語は英語。世界中からやってきた移民が暮らすコスモポリタンな街で、トロントの小学校で両親の出身国をプロットしただけで世界地図ができてしまうでしょう。
トロントに似た街として、真っ先に思い浮かぶのが「オーストラリアのシドニー」。同じ英連邦の国で最大の都市、街の規模も雰囲気も、移民が多いところも似通っています。トロントのピアソン国際空港から市内に出る電車に乗ると、驚くほど、シドニーのWestern Line沿線に瓜二つな車窓風景が広がります。
トロント市内の風景。寒い気候以外は「シドニーと瓜二つ」にみえる
以前シドニー市民だった私が、トロントに来て感じることは、「全てがシドニーに良く似てるけど、都市としてはトロントの方が少し格上だな」と…例えば、トロント圏の人口はシドニー圏より2割くらい多いし、トロントには3つの空港があるけどシドニーには1つしかない、フリーウェイもトロントの方がシドニーより整備されている、トロントのユニオン駅はシドニーのセントラル駅より都会的でかっこいい等々。
何より、立地条件に圧倒的な差がある。ニューヨークやシカゴに1時間強で出られるトロントの地の利は、シドニーが逆立ちしても真似できない。シドニーは世界の主要都市から余りにも遠いし、おまけに言葉も少し訛ってる。「トロントと比べれば、俺たちは英語圏の田舎者だよなあ」というのが偽らざる感覚。
そんなシドニーが、トロントよりも勝っている(?)ことは2つかな。「気温がトロントより高い」、「不動産価格がトロントより高い」。後者は自慢できることなのかどうか知りませんが、今のシドニーは世界でも10指に入るほど、不動産価格が高騰した街となりました。ライバルは奇しくも、カナダのバンクーバー。同国第三の都市なのに不動産価格は最大都市トロントを上回ります。
しかしトロントも、バンクーバーやシドニーの後を追って、不動産価格が急速に上がる局面を迎えています。
今のトロントの不動産、とにかくホット、ものすごい売手市場になってて、売り物件が出れば即完売、買い上がりが当たり前で、49万ドルで売りに出たアパートが59万ドルで成約するみたいな話はザラ。私が内見したタウンハウスも、もとの売値が119万ドルだったのが改訂されて145万で案内されてました。
いくらなんでも過熱しすぎだろと思いますが、よく考えたら今トロントで起っていることは、2013〜15年にシドニーで起こったことと瓜二つですね。中国人、インド人をはじめ、大量に入り込んできた移民が不動産をどんどん高値で買う、現金を積んで即買いする。地元の人も、いま買わないと一生マイホーム持てないと思うから血相変えて買う。そんなゲームに皆が躍った結果、年率20%みたいなスピードで相場が上がり続けたのです。
シドニーの不動産価格は、2016年に入る頃には鎮静化をはじめました。融資も引き締められ、特に外国人非居住者に対する融資はほぼ不可能になり、購入にあたって高額な印紙税が課せられるようになりました。
かつてシドニーがたどった道を、2〜3年の時差をもって、いまトロントがトレースしているように感じます。
トロントの物件を視察すると、仲介業者の名刺が何ダースも。うち8割は中華系エージェント。
トロント不動産の、えげつないまでの活況ぶり。ブームが今後ずっと続くとは思わないけど、「あと2年はいける」というのが私の感想。なぜそう思うのか?
・移民による、旺盛な人口流入。
・都心近くは建てても建てても人口に追いつかない、圧倒的な供給不足。
・賃料水準も年々上がっている。
・売買価格は賃料水準以上に上がるとはいえ、それでも都心近くのマンションでグロス利回り4%以上は出る。
かつてのシドニーがそうであったように、グロス利回りが3%そこそこにまで低下してしまえば、不動産価格は頭打ちになる想定が成り立ちますが、トロントはまだ4%以上回るので、ざっとみて価格に30%くらいの伸びしろがあるのではないかと愚考します。
あと、客観的状況から考えて、「シドニーが値上がって、トロントが値上がらない理由が、本当に見つからない」のです。カナダにおけるトロントは、オーストラリアにおけるシドニー以上に、国内の人口を引き寄せる条件を備えています。
・新移民の多くは、カナダではトロント、オーストラリアではシドニーを目指す。
・オーストラリアの場合、シドニーの生活コストが高くなれば、第二の都市メルボルン、第三の都市ブリスベンに行くことは可能。
・一方カナダの場合、トロントの生活コストが高くなって、第二の都市モントリオールに行こうにも、そこはフランス語圏。カナダ生まれ英仏マルチリンガルならともかく、インド人や中国人の移民でフランス語圏に行ける人は少ない。カナダ第三の都市バンクーバーは、トロントよりも住居費含め生活コストが高いし、第四位以降は都市レベルが大きく落ちてしまう。
・したがって、一旦トロントに住み着いてしまえば、他都市に行かずトロント圏内を移動することになる。
トロントに多くの人口が集まり、他都市になかなか逃げられない構造・・必然的に人口が増え、彼らが住宅を求め、値段を上げ続ける。
今が、まさに値上がりの旬のタイミング。トロント不動産でキャピタルゲインを取りにいくなら、「今すぐ動くこと」が肝要だと思います。
私も「短期的な値上がりを取りにいく」お行儀の悪い投資が実は大好きなので、すでに行動を起こました。でも、経験者や度胸ある人以外は真似しないでね。